マーキュリーカップ特設サイト

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メイセイオペラ記念 マーキュリーカップ

レース情報

写真/昨年の優勝馬グリム

レースの歴史

RACE HISTORY

  マーキュリーカップの創設は1997年。水沢初のダートグレード競走で話題を呼び、第2回はメイセイオペラが7馬身差で圧勝。後に南部杯、フェブラリーステークス、帝王賞とG(Jpn)Ⅰを3勝するまで出世した礎を築く記念すべき優勝となった。
 2017年からメイセイオペラ記念の副称が付記されたのは、以上の背景による。
 第4回から舞台は盛岡ダート2000mへ替わり、現在に至っているが、オースミジェットは第3回を水沢、第4回を盛岡で連勝。同一レースでは非常に珍しい連覇となった。
 メイセイオペラのほかにマーキュリーC優勝後、G(Jpn)Ⅰを制したのは15回ゴルトブリッツ(帝王賞)、第21回、22回を連覇したミツバ(川崎記念)の2頭。
 また第19回は大井代表ユーロビートが圧勝。メイセイオペラ以来、史上2頭目の地方所属馬優勝を果たした。

盛岡2000mコースガイド

COURSE GUIDE

 4コーナー奥のポケットからスタートして2度の坂越えを要求される過酷なコースだけに中途半端な逃げや先行馬は苦しい。逆に、そんなイメージのせいか実力馬が先行策を採ると他が競りかけてこず、そのまま先行して圧勝してしまうケースも。
 2019年は全4戦中で1番人気3勝・2番人気1勝と人気上位馬が強かった。
 過去5年間を見ても1~3番人気馬の勝率が84.0%、1番人気馬の連対率は68.0%で人気上位馬が非常に安定した好成績を残している。

コース図

データ分析

■重要なのはローテーション。まずは平安S出走馬に注目

【過去10年のローテーション】

2019年1着グリム←アンタレスS②←名古屋大賞典①
2着ノーブルサターン←アハルテケS③←ブリリアントS⑫
3着テルペリオン←スレイプニルS①←ブリリアントS⑧
2018年1着ミツバ←平安S④←アンタレスS②
2着ヨシオ←マリーンS④←大沼S②
3着フェニックスマーク←ブリリアントS①←アレキサンドライトS①
2017年1着ミツバ←ブリリアントS①←アンタレスS⑪
2着ピオネロ←平安S④←名古屋大賞典②
3着クリノスターオー←平安S⑭←コリアC②
2016年1着ストロングサウザー←平安S⑨←ダイオライト記念⑥
2着タイムズアロー←京成盃グランドM④←かしわ記念⑥
3着マイネルバイカ←ダイオライト記念⑤←佐賀記念④
2015年1着ユーロビート←帝王賞④←大井記念②
2着ソリタリーキング←平安S←ブリリアントS②
3着トウショウクリーク←アンタレスS⑮←マーチS⑧
2014年1着ナイスミーチュー←平安S⑥←ダイオライト記念⑦
2着クリソライト←大沼S⑪←ブリリアントS④
3着シビルウォー←帝王賞⑤←ブリリアントS⑩
2013年1着ソリタリーキング←平安S⑨←アンタレスS④
2着シビルウォー←JCダート⑨←JBCクラシック②
3着グランドシチー←マーチS①←仁川S③
2012年1着シビルウォー←帝王賞④←東海S⑥
2着グランドシチー←大沼S②←ブリリアントS②
3着フリソ←大沼S←アハルテケS⑨
2011年1着ゴルトブリッツ←東海S⑤←アンタレスS①
2着メイショウタメトモ←フェブラリーS⑬←川崎記念②
3着パワーストラグル←大沼S←エスペランサS⑩
2010年1着カネヒキリ←帝王賞②←かしわ記念②
2着ブルーブラッド←京成盃グランドM⑤←かしわ記念⑬
3着ロールオブダンス←名古屋大賞典⑥←ダイオライト記念⑥

【過去10年の所属先(左から2019年→2010年)】

1着西・西・西・東・大・西・西・東・西・西
2着西・西・西・船・西・西・東・東・西・浦
3着西・東・西・西・西・東・東・東・東・西

*西=栗東所属 東=美浦 大=大井 船=船橋 浦=浦和

【過去11年~20年】

1着西・西・東・西・東・西・東・東・西

 まず目につくのは平安S出走組。同レースは2012年まで実施時期が1月だったが、2013年から5月へ移行。距離も京都ダート1800mから1900mへ延長され、よりマーキュリーCへ直結するレースとなった。
 平安Sで上位確保ならベターだが、着順はあまり気にしなくていい。平安Sを使ってきたことが大事。マーキュリーCで好走パターンが多い。
 続いてアンタレスS出走組も要チェック。アンタレスSから直行、または一つレースをはさんでもアンタレスSもマーキュリーCとの連動性は高い。
 ブリリアントSからマーキュリーC優勝は古くからの定番だった。理由は東京ダート2100mと盛岡ダート2000mのコース形態が似ているから。
 かつては“鉄板”ローテーションだったが、過去10年で優勝したのはミツバ1頭のみ。
 若干パワーが薄れている印象があるが、西(栗東)高東(美浦)低も大きく影響しているか。それでも栗東から遠征してブリリアントS1着からミツバが直行で制し、ほかにも上位を確保しているのは事実。やはり重要なステップレースと見ていいだろう。同じ条件のスレイプニルSも見逃せない。
 帝王賞組は過去10年でカネヒキリ(帝王賞2着)、シビルウォー(同4着)、ユーロビート(同4着)と3頭が優勝している。帝王賞で上半期ダートグレード競走が終了。上位馬は秋のG/JpnⅠへ向けて夏休みに入るケースが多いが、仮に出走すれば勝ち負け必至だろう。

 もう一つチェックすべきなのは休み明け実績。一昨年まで3ヵ月以上の休養から、いきなりマーキュリーCを制したケースはなかったが、昨年のグリムはアンタレスS(4月14日)からぶっつけで臨み、2馬身差で完勝した。
 ほかでは2015年、トウショウクリークがアンタレスSから3着。2013年、シビルウォーはJCダート9着以来から2着、グランドシチーはマーチS1着から3着。2011年、メイショウタメトモはフェブラリーSから2着を確保した。以上のように好走例はあるが、基本的には割り引きが必要。
 ただ近年、JRAはぶっつけでGⅠを制したケースが多々。特に今年が顕著だった。マーキュリーCも同様な結果となるのか、非常に興味深い。

■荒れるか、順当か。マーキュリーカップは極端

1着2着3着勝率連対率複勝率
1番人気5回0回2回50%50%70%
2番人気 2回 4回 0回 20% 60% 70%
3番人気 0回 3回 1回 0% 30% 40%
4番人気 2回 1回 4回 20% 30% 70%
5番人気 0回 1回 2回 0% 10% 30%
6人気以下 1回 1回 1回 10% 20%  

 1番人気の優勝は5回。昨年はグリム、3年前はミツバが1番人気で優勝。一昨年はフェニックスマーク3着と馬券対象を果たし、2010年のカネヒキリからゴルトブリッツ、シビルウォーと3年連続で1番人気が優勝し、一見すると人気サイドで決着しているのように映る。
 しかし2013年から2016年まで1番人気で馬券対象となったのは2013年のグランドシチー3着が最高。
 2015年はユーロビート(6番人気)→ソリタリーキング(3番人気)→トウショウクリーク(5番人気)の順で入線し、3連単11万2860円。
 翌年もストロングサウザー(2番人気)→タイムズアロー(9番人気)→マイネルバイカ(5番人気)で3連単が17万9810円と2年連続で超万馬券が飛び出した。
 また2019年は1番人気→4番人気→3番人気で馬単1800円、3連単3690円。2018年は2番人気→4番人気→1番人気で馬単1530円、3連単3320円。組み合わせ次第で、ソコソコ配当がついている点もつけ加えておきたい。

■恐るべし、サンデーサイレンス(SS)系

2019年グリム(父ゼンノロブロイ SS系)
2018年ミツバ(父カネヒキリ SS系)
2017年ミツバ(カネヒキリ SS系)
2016年ストロングサウザー(父ハーツクライ SS系)
2015年ユーロビート(父スズカマンボ SS系)
2014年ナイスミーチュー(父キングカメハメハ ミスプロ系)
2013年ソリタリーキング(父キンカメ ミスプロ系)
2012年シビルウォー(父ウォーエンブレム ミスプロ系)
2011年ゴルトブリッツ(父スペシャルウィーク SS系)
2010年カネヒキリ(父フジキセキ SS系)

 これまで何度かのデータでサイアーライン(父系)を分析してきたが、マーキュリーカップで様相が一変した。過去10年でSS系が7回優勝し、昨年まで6連覇を達成。対してミスプロ系が3回優勝と主客が完全に逆転した。
 特にミツバは父カネヒキリと父仔制覇を果たし、SS系の偉大さを証明した。
 一方、ミスプロ系はキングカメハメハ産駒が2回優勝と奮闘。キンカメがいかに素晴らしい種牡馬であることを印象づけているが、過去10年のマーキュリーCはSS系有利の傾向がはっきり出た。
 参考までに2009年~2000年のサイアーラインも紹介してみたい。

2009年マコトスパルビエロ(父ブライアンズタイム ロベルト系)
2008年サカラート(父アフリート ミスプロ系)
2007年シャーベットトーン(父ヘクタープロテクター ミスプロ系)
2006年クーリンガー(父フォーティナイナー ミスプロ系)
2005年ピットファイター(父プルピット APインディ系)
2004年スナークレイアース(父アサティス トップサイダー系)
2003年ディーエスサンダー(父タヤスツヨシ SS系)
2002年プリエミネンス(父アフリート ミスプロ系)
2001年ミラクルオペラ(父オペラハウス サドラーズウェルズ系―ノーザンダンサー系)
2000年オースミジェット(父ジェイドロバリー ミスプロ系)

■トップハンデは微妙なんです

  トップハンデ  
2019年56キロ グリム1着
2018年57キロ マイネルバサラ5着
2017年56キロ クリノスターオー3着
2016年58キロ ソリタリーキング7着
2015年58キロ ソリタリーキング2着
2014年59キロ クリソライト2着
2013年58キロ シビルウォー2着
2012年57キロ シビルウォー1着
2011年55キロ ゴルトブリッツ1着
55キロ パワーストラグル3着
2010年59キロ カネヒキリ1着

 過去10年でトップハンデを背負った結果は4勝2着3回2回。ハンデは強さの証と言われるが、それを裏付けている印象もある。しかし、58キロ以上を背負って優勝したのはカネヒキリ(59キロ)1頭のみ。
 同じくクリソライトが59キロで2着を確保したが、翌年は7着。また昨年のグリムは56キロを背負って1着、ゴルトブリッツは55キロで優勝したが、これをトップハンデと言っていいのかどうか。
 むしろ58キロを背負っても参戦するケースが少なくなっているのがマーキュリーカップの特徴。2016年、ソリタリーキングを最後に負担重量58キロはなくなった。
 あえて決めるつけるが、分岐点は57キロまで。ハンデ58キロ以上になると厳しい。

有力馬紹介

■デルマルーヴル

牡4歳 戸田博文きゅう舎(美浦)
父・パイロ(APインディ系)

 デビュー3戦目から3連勝を飾り、JpnⅡ・兵庫ジュニアグランプリを優勝。続くJpnⅠ・全日本2歳優駿(国際競走)はノーヴァレンダのアタマ差2着に惜敗した。
 一戦置いて今度はUAEダービー(GⅡ ドバイ・メイダン競馬場)へ挑戦。4着に善戦した。
 帰国初戦のジャパンダートダービーはクリソベリルの2着。以降もレパードステークス、白山大賞典2着。浦和記念は4着に終わったが、名古屋グランプリ(JpnⅡ)を快勝。ダートグレード2勝目を手にした。
 年が明けて川崎記念(JpnⅠ)3着からフェブラリーステークス15着後、ドバイ・ゴドルフィンマイルに遠征したが、コロナウイルスの影響でレースが中止。仕切り直しの一戦に帝王賞を選んだものの、今度は選定モレ。
 ぶっつけでマーキュリーカップに臨むことになったが、言うまでもなく実績№1。トップハンデ57キロを背負うが、主役級は疑いなし。勝って秋のGⅠシリーズへ弾みをつけたい。

■マスターフェンサー

牡4歳 角田晃一きゅう舎(栗東)
父・ジャスタウェイ(サンデーサイレンス系)

 デビュー2戦(取り消しは含まず)は芝で2、4着。その後、ダート路線へ移行して2連勝マーク。ヒヤシンスステークス4着、伏竜ステークス2着からアメリカ三冠・ケンタッキーダービー、ベルモントステークスへ挑戦。
 ケンタッキーダービーは日本産馬では初のケンタッキーダービー出走で6着。ベルモントステークスは外から伸びて5着に健闘した。
 その後もアメリカへ滞在し、今度は芝2000m・ベルモントダービーへ駒を進めたが、アメリカの芝も合わず13着に終わった。
 4ヵ月半の休養後、帰国初戦の2勝クラス、一戦置いて3勝クラスも勝ってオープン入り。ブリリアントステークス、スレイプニルステークス(いずれも東京ダート2100m)でエルデュクラージュの連続2着。あとひと伸びが足りなかった。
 今後、ビッグレースに出走するためにはマーキュリーCは是が非でも勝ちたい一戦。盛岡ダート2000m向きは過去実績からも明らか。

■ヒストリーメイカー

牡6歳 新谷功一きゅう舎(栗東)
父・エンパイアメーカー(ミスプロ系)

 中央2戦0勝から金沢へ移籍後、秘めた素質が開花。移籍5連勝を含む10勝をマークして再び中央入り。ダートで3勝をあげて堂々、オープン入り。
初重賞挑戦となった東海ステークス6着後、オープン・仁川ステークスを快勝。マーキュリーCと連動性が高い平安ステークスへ駒を進め、豪華メンバー相手に4着。自身の成長力をアピールした。
 今回、マーキュリーCを優勝すれば管理きゅう舎・新谷功一調教師、コンビを組む畑端省吾騎手ともうれしい初重賞制覇。その名のごとくヒストリーメイカー(歴史作り)となるか、注目が集まる。

■アポロテネシー

牡5歳 鈴木伸尋きゅう舎(美浦)
父・ランナウェイアンドハイド(ミスプロ系)

  京都ダート1400mの3歳新馬戦を勝ち上がり、7戦目に2勝目を―マーク。以降は頭打ちのレースが続いたが、4歳秋に2連勝を飾ってオープン入り。
 名古屋グランプリに挑戦してデルマルーヴルの1秒8差5着から東京大賞典9着。
 今年は2月から始動してアルデバランステークス(特別)4着、仁川ステークス(リステッド)3着。
 それ以来の実戦となるが、デビュー戦後は一貫してダート1700m以上を使われてきたように2000m向き。
 ミスプロ4×4×5のインブリードを持つ典型的なアメリカン血統。

■ヨシオ

牡7歳 森秀行きゅう舎(栗東)
父・ヨハネスブルグ(ストームキャット系)

  デビュー後はダート1本で使われ、5歳(2018年)6月にオープン入り。同年7月、マーキュリーカップへ参戦し、逃げてミツバの2着を確保。続いてサマーチャンピオン(佐賀)へ挑戦して3着。今年1月のジャニュアリーステークスで通算6勝目をマークした。
 函館2戦12着は自分の競馬ができなかったのも敗因。スンナリの流れに持ち込んで一昨年の再現を狙う。

■リンノレジェンド

牡4歳 林和弘きゅう舎(門別)
父・トビーズコーナー(ダンジグ系)

  門別1200mの2歳新馬戦を勝ち、その年の冬に南関東へ移籍。2戦1勝2着1回から門別へ里帰り。北海道三冠に臨んだが、リンゾウチャネルが強力だったため北斗盃5着、北海優駿2着、王冠賞3着。
 その後、矛先を変えて黒潮盃、ダービーグランプリを連続優勝し、勢いを駆って道営記念へ挑戦。見事な逃げ切りを決め、世代レベルの高さを誇示した。
 今季2戦は仕上がり途上だったのか2戦とも8着に沈んだが、体も絞れた前走を快勝。上昇ムードで臨むのが心強い。

■ランガディア

牡6歳 板垣吉則きゅう舎(水沢)
父・キングカメハメハ(ミスプロ系)

 中央芝5勝、オープンに在籍。岩手入り直前の総武ステークスが初ダート戦でしんがり負け16着。パワーの要る地方ダート対応が未知数だったが、赤松杯、シアンモア記念、一條記念みちのく大賞典と重賞3連勝。ナムラタイタン以来の偉業を成し遂げ、一気に岩手頂点を極めた。  今回はJRAダートの強豪が相手。高速決着は確実だが、父は芝ダートで多くの強豪を輩出してきたキングカメハメハ。母はダイナカール産駒で自身は中央ダート4勝。岩手の期待を一身に集める。