注目レース情報

第38回マイルチャンピオンシップ南部杯(JpnⅠ)

盛岡競馬場 ダ 1600メートル2025/10/13(祝月)

レースについて

○歴史

 南部杯の創設は1988年。第1回から第7回まで北関東以北の地区限定競走で実施。水沢1600mを舞台に『北日本マイルチャンピオンシップ南部杯』のレース名で行われたが、1995年、JRA、全国の地方競馬にも門戸を開放。名称も『マイルチャンピオンシップ南部杯』へ変わり、JRA・ライブリマウント、岩手トウケイニセイの対決は“天下分け目の決戦”と言われた。結果はライブリマウントに軍配。翌年3月、第1回ドバイワールドカップへ遠征した。

 1996年、新盛岡競馬場=OROパークの完成に伴い、盛岡ダート1600mへ移行。“砂の女王”ホクトベガが圧勝し、1998年はメイセイオペラが優勝。2001年はアグネスデジタルなど名だたるダート強豪が歴代名馬に名を連ねています。

 また南部杯はリピーターが多いことでも有名。北日本時代も含めるとトウケイニセイ、ユートピア、ブルーコンコルド(3連覇)、エスポワールシチー(2連覇、3度優勝)、ベストウォーリア、コパノリッキー、アルクトス、そしてレモンポップと計8頭が連覇以上を達成している。

昨年優勝馬 レモンポップ

コースの特徴

○ダート1600m

スタート地点はコース右手奥、2コーナーから伸びる引き込み線の最奥。向こう正面は約800mに及び、途中通過するコーナーはわずか2カ所。枠順による有利・不利は少なく、G1なら16頭立てにもなるがそれでも枠の内・中・外で勝率・連対率の差がほとんど無い。馬の実力がしっかり反映された戦いを期待できるダート1600mはOROパークが誇るチャンピオンコースだ。ただし意外に流れが落ち着きがちで本格的な差し・追込馬には展開が向かない場合も多い点には要注意。先行・好位の決着が多い南部杯のイメージ通りと言える。

盛岡競馬場コース図

データ分析

○マイルチャンピオンシップ南部杯(1995年~)サイアーライン

2024年 レモンポップ 父レモンドロップキッド ミスプロ系
2023年 レモンポップ 同上
2022年 カフェファラオ 父アメリカンファラオ ミスプロ系
2021年 アルクトス 父アドマイヤオーラ SS系
2020年 アルクトス 同上
2019年 サンライズノヴァ 父ゴールドアリュール SS系
2018年 ルヴァンスレーヴ 父シンボリクリスエス ロベルト系
2017年 コパノリッキー 父ゴールドアリュール SS系
2016年 コパノリッキー 同上
2015年 ベストウォーリア 父マジェスティックウォリアー APインディ系
2014年 ベストウォーリア 同上
2013年 エスポワールシチー 父ゴールドアリュール SS系
2012年 エスポワールシチー 同上
2010年 オーロマイスター 父ゴールドアリュール SS系
2009年 エスポワールシチー 父ゴールドアリュール SS系
2008年 ブルーコンコルド 父カーリアン ノーザンダンサー系
2007年 ブルーコンコルド 同上
2006年 ブルーコンコルド 同上
2005年 ユートピア 父フォーティナイナー ミスプロ系
2004年 ユートピア 同上
2003年 アドマイヤドン 父ティンバーカントリー ミスプロ系
2002年 トーホウエンペラー 父ブライアンズタイム ロベルト系
2001年 アグネスデジタル 父クラフティプロスペクター ミスプロ系
2000年 ゴールドティアラ 父シーキングザゴールド ミスプロ系
1999年 ニホンピロジュピタ 父オペラハウス ノーザンダンサー系
1998年 メイセイオペラ 父グランドオペラ ノーザンダンサー系
1997年 タイキシャーロック 父ジェイドロバリー ミスプロ系
1996年 ホクトベガ 父ナグルスキー ノーザンダンサー系
1995年 ライブリマウント 父グリーンマウント ノーザンダンサー系

 南部杯がJRA、地方競馬全国交流へ昇格して今年で30回目だが、サイアーラインからも興味深いデータが出てきた。1995年から2008年までノーザンダンサー系、ミスプロ系がほぼ交互に優勝を分け合っていたが、2009年からサンデーサイレンス系が席けん。特にゴールドアリュールの血は強烈で産駒が7度優勝。その後もSS系が牛耳っていたが、久しく鳴りを潜めていたミスプロ系が3年連続で制覇。世界ダート界のすう勢に合わせるかのように、南部杯もミスプロ系が元気を取り戻している。

○南部杯=盛岡ダート1600mは逃げ、先行馬が優位

1着 2着 3着
逃げ 2回 3回 0回
先行 6回 6回 3回
差し 2回 1回 7回
追込 0回 0回 0回

 好走脚質で先行1着6回2着6回3着3回と特出しているのは、盛岡1600mのコース紹介でもお伝えしたとおり。またレモンポップは2年連続で逃げ切りを決め、データ外だが、2102年、2013年とエスポワールシチーが逃げ切っており、南部杯は逃げ、先行馬が優位に立っている。

 差し脚質の1着馬は2019年サンライズノヴァ、2018年ルヴァンスレーヴの2頭。サンライズノヴァは出遅れグセがあり、なかなか自分の競馬に持ち込めなかった。南部杯でも出遅れたが、鞍上・吉原寛人騎手が3コーナーでは5番手まで押し上げ、逃げロンドンタウンを1秒以内の射程圏に入れた。ルヴァンスレーヴは3コーナー入り6番手だったが、1番人気ゴールドドリームがその後ろを追走したため。M・デムーロ騎手は相手が前の馬ではなく、ゴールドドリーム1頭のみと考え、そのとおりの結果。1着ルヴァンスレーヴ=差し、2着ゴールドドリーム=差しで決まった。

○1番人気7勝2着1回3着1回

1着 2着 3着 単勝率 連対率 複勝率
1番人気 7回 1回 1回 70% 80% 90%
2番人気 1回 4回 2回 10% 50% 70%
3番人気 0回 0回 1回 0% 0% 10%
4番人気 1回 2回 1回 10% 30% 40%
5番人気 0回 0回 2回 0% 0% 20%
6番人気以下 1回 3回 3回

 1番人気の優勝は昨年、一昨年のレモンポップ(2度とも)からカフェファラオ、アルクトス(2度目制覇)、コパノリッキー(2度とも)、ベストウォーリア。勝率70%、連対率80%、複勝率90%と信頼度は非常に高い。過去10年で1番人気で馬券対象から外れたのは2020年のサンライズノヴァだが、それでも4着入線を果たした。

 2番人気の優勝は2018年ルヴァンスレーヴだが、南部杯で史上初めて3歳馬優勝を果たし、続いてチャンピオンズカップも快勝した歴史的強豪。4番人気の優勝は2019年サンライズノヴァ。6番人気の優勝は2020年アルクトスだったが、日本レコードで快走。翌年には堂々1番人気で2連覇を果たした。

 余談だが、1番人気受難の時代もあった。2004年(1着ユートピア)から2010年(1着オーロマイスター)まで7年連続で敗戦。また2006年から2008年まで史上初となる南部杯3連覇の偉業をブルーコンコルドが達成したがすべて2番人気での優勝。いま考えると七不思議だが、2012年以降は1番人気が9回優勝している。

○5歳馬5勝、6歳馬3勝

1着 2着 3着
3歳 1回 0回 0回
4歳 0回 1回 1回
5歳 5回 4回 2回
6歳 3回 5回 3回
7歳 1回 0回 4回
8歳 0回 0回 0回
9歳 0回 0回 1回

 5歳馬の優勝は一昨年のレモンポップ、カフェファラオ、アルクトス、サンライズノヴァ、ベストウォーリアが優勝。6歳馬は昨年のレモンポップ、アルクトス、コパノリッキー。過去10年では4歳馬の優勝がなかったが、2014年にベストウォリアーが4歳優勝。そして7歳馬の優勝はコパノリッキー。ダート競馬は息の長い活躍ケースが多く、南部杯も連覇が多いことで定評がある。