注目レース情報

第33回東北優駿(M1)

水沢競馬場 ダ 2000メートル2025/6/8(日) 11R 18:15発走

レースについて

○歴史

 “岩手ダービー”のスタートは2006年。全国の地方競馬で行われるダービーを短期集中型で実施し、多くのファンに楽しんでいただきたい―の趣旨のもと『ダービーウィーク』を創設。岩手競馬はダイヤモンドカップを岩手ダービーとした。

 当初は全国6場で始まったが、2017年には石川ダービー(金沢)、高知優駿も加わり、『ダービーシリーズ』へ改名。北から北海優駿、東北優駿(岩手ダービー)、東京ダービー、石川ダービー、東海ダービー、兵庫ダービー(園田)、高知優駿、九州ダービー栄城賞(佐賀)と各地区もれなくダービーを楽しめるようになった。

 また岩手競馬は2019年、かつての名物レース・東北優駿を復活させ、岩手ダービーをダイヤモンドカップから移行。さらに翌年、三冠体系を再構築。一冠目・ダイヤモンドカップ、二冠目・東北優駿(岩手ダービー)、三冠目・不来方賞のレース体系を確立した。

 しかし昨年、『全日本的なダート競走の体系整備』により、羽田盃、東京ダービー、ジャパンダートクラシック(いずれもJpnⅠ)のダート三冠がスタート。それに伴い、ダービーシリーズは発展的に解消。また“ダービー”の名称も日本ダービー(東京優駿)、東京ダービーに限られ、岩手ダービーの名称を返上。昨年から「東北優駿」の名称で行われた。なお、東北優駿のカウント(回数)は三県(新潟・上山・岩手)持ち回りだった時代を踏襲。今年は33回目の東北優駿となる。

 今回は2014年から2018年はダイヤモンドカップ、2019年以降は東北優駿のデータ。開催場所は2011年から2016年が盛岡、2017年から2019年は水沢、2020年は盛岡。2021年から再び水沢2000mに舞台が移っている。

昨年優勝馬 フジユージーン

コースの特徴

○ダート2000m

向こう正面左手・2コーナーの直後からスタートして一周半、スタンド前を二度通過する長丁場。流れが落ち着きやすく、逃げ・先行馬が上位を占める結果が多い。というのもこの距離を使用するのは基本的にM1クラスの重賞でありメンバーはいずれも実力馬。展開的な紛れが生じづらい事が背景にあるだろう。過去5年・のべ16レースで1番人気は8勝、2番人気3勝。昨年の桐花賞を6番人気で制したライアンが久しぶりの5番人気以下からの勝利だった。勝ち馬の位置は1コーナーや2コーナーで中団にいても最後の4コーナーでは先頭というパターンがほとんど。機動力と決め手を兼ね備えた馬に注目。

水沢競馬場コース図

データ分析

○東北優駿の名称が復活以降、優勝全馬が二冠を達成

2019年 パンプキンズ(ダイヤモンドカップ)
2020年 フレッチャビアンカ(不来方賞)
2021年 リュウノシンゲン(ダイヤモンドカップ)
2022年 グットクレンジング(ダイヤモンドカップ)
2023年 ミニアチュール(ダイヤモンドカップ)
2024年 フジユージーン(ダイヤモンドカップ)

 2019年は一冠目・東北優駿(岩手ダービー)、二冠目・ダイヤモンドカップだったが、パンプキンズは東北優駿で2000mを克服し、1600m・ダイヤモンドCを制覇。フレッチャビアンカは一冠目・ダイヤモンドCはグランコージーの逃げ切りに屈したが、二冠目・東北優駿、三冠目・不来方賞を制した。続いてリュウノシンゲン、グットクレンジング、昨年のミニアチュールはダイヤモンドC(水沢1600m)を制し、東北優駿では2000mを克服した。昨年は無敗でダイヤモンドC、東北優駿の二冠を獲得。JpnⅡへ昇格した不来方賞へ駒を進めた(4着)。ただしダイヤモンドカップは昨年から東日本交流へ枠を拡大。今年は大井代表・シーソーゲームは完勝し、岩手最先着はリケアカプチーノの2着。一冠目優勝馬は不在となり、データとしてはダイヤモンドC最先着馬に変わるかもしれない。

○ダービーは強い馬が勝つ!

1着 2着 3着 勝率 連対率 複勝率
1番人気 7回 1回 1回 70% 80% 90%
2番人気 1回 2回 4回 10% 30% 70%
3番人気 1回 3回 1回 10% 40% 50%
4番人気 0回 2回 1回 0% 20% 30%
5番人気 1回 1回 1回 10% 20% 30%
6人気以下 0回 1回 2回

 過去10年、1番人気7勝2着1回3着1回。勝率70%、複勝率90%と信頼度は非常に高い。唯一、1番人気が馬券対象とならなかったのは2020年。1番人気グランコージーが4着に敗れ、5番人気フレッチャビアンカが優勝。2006年、岩手ダービーが創設されて初めて5番人気馬が優勝した(当然だが、6番人気以下の優勝もなし)。また2着ピアノマン(3番人気)、3着レールガン(7番人気)の順で入線。ダービー史上3連単最高配当も飛び出した。

 しかし、その後のフレッチャビアンカは東北優駿を皮切りに、不来方賞、全国交流・ダービーグランプリと盛岡ダート2000m重賞3連勝。年度代表馬にも選出された。2021年、2022年は1番人気グットクレンジング、リュウノシンゲンが完勝。堂々二冠を獲得した。一昨年は2番人気ミニアチュール(1番人気ロッソナブアは3着)が優勝したが、その後、ひまわり賞(オークス)、OROオータムティアラと牝馬二冠も獲得。牡牝馬クラシック四冠制覇の偉業を達成。そして昨年は単勝1倍の元返し、圧倒的1番人気フジユージーンが圧勝した。以上のことから“ダービー馬は強い馬が勝つ”

○ダートの王道2000mに優勝ポジションなし

1着 2着 3着
逃げ 3回 0回 0回
先行 4回 4回 4回
差し 3回 5回 5回
追込 0回 1回 1回

 東北優駿、ダイヤモンドカップも岩手ダービーとして行われて以降、距離は2000m。脚質の有利不利はほぼない。2020年、フレッチャビアンカは前半7番手を追走、2着ピアノマンは6番手から早めに動き、3着レールガンは後方2番手からの競馬。上位3頭すべて脚質は“差し”追い込み”だった。また2021年は先行リュウノシンゲンが優勝。2着グランフォロミー、3着サンエイマジックは差し競馬。2022年は先行馬が1、2着。3着は差しサンエイブレーヴ。一昨年は1着=先行、2着=差し、3着=先行で決まった。昨年はフジユージーンが2番手から2コーナー過ぎに先頭。2着サクラトップキッドはいつもより前につけ、3着セイバイラックは差しだった。あと興味深いのは逃げ切り。過去10回中3回あるが、2着0回3着0回。勝つか、凡走かの極端な結果となっている。しかも優勝3回(パンプキンズ、キングジャガー、ロールボヌール)とも3番人気以内。人気薄での逃げ切りはかなり難しい。

○優勝条件は前走2着以上

2015年 1着ロールボヌール 3歳A級1着
2016年 1着エンパイアペガサス やまびこ賞1着
2017年 1着キングジャガー やまびこ賞1着
2018年 1着チャイヤプーン やまびこ賞1着
2019年 1着パンプキンズ やまびこ賞2着
2020年 1着フレッチャビアンカ ダイヤモンドカップ2着
2021年 1着リュウノシンゲン ダイヤモンドカップ1着
2022年 1着グットクレンジング ダイヤモンドカップ1着
2023年 1着ミニアチュール ダイヤモンドカップ1着
2024年 1着フジユージーン ダイヤモンドカップ1着

 2014年から2018年まで岩手ダービー優勝馬はすべて前走1着。データ外だが、2011年のベストマイヒーローは七時雨賞1着、2010年のロックハンドスターも阿久利黒賞1着。2018年まで前走1着が絶対条件だったが、東北優駿の復活とともに前走2着馬が2年連続で優勝している。2019年のパンプキンズはやまびこ賞(水沢1900m)2着。2020年、フレッチャビアンカは一冠目・ダイヤモンドカップ2着から優勝を果たしたが、ここ4年はリュウノシンゲン、グットクレンジング、ミニアチュール、フジユージーンがダイヤモンドカップ1着から東北優駿を完勝。よって優勝条件は前走2着以内。

有力馬紹介

リケアカプチーノ

牡3歳 父・トランセンド

菅原勲きゅう舎・水沢

 デビュー戦を1秒5差で圧勝。以降も抜群の安定感を誇り、現在まで9戦5勝2着4回。転入初戦となった東日本交流であり、岩手一冠目・ダイヤモンドカップでも2着を確保した。優勝シーソーゲームはJpnⅠ・東京ダービーへエントリー。むしろ連対を確保したことを評価したい。昨年の2歳交流、今年の3歳交流戦はすべて遠征馬に凱歌が上がっており、岩手在籍馬は苦戦の連続。その中でリケアカプチーノはダイヤモンドCで岩手最先着2着。今回は未知の2000mだが、全馬にも言えること。今回は地元岩手同士の戦いなら順当に岩手二冠目を手にする。

サンロックンロール

牡3歳 父・トビーズコーナー

菅原勲きゅう舎・水沢

 門別1100m・2歳新馬戦は2着だったが、1着エイシンハリアーはその後、園田へ移籍して兵庫ユースカップ優勝、交流・ネクストスター西日本2着。ハイレベルのメンバーだった。デビュー戦後、脚部不安が発生して半年の休養を経て佐賀へ移籍。あっさり4連勝を飾り、能力の違いを見せつけた。5戦目は1750mへ延長され、出遅れを喫したため9番手からの競馬。メンバー最速の上がりを披露したが、3着に終わって岩手入り。初戦でも出遅れたが、馬群で我慢させて直線一気に伸びて快勝。好発進を決めた。距離対応が最大ネックだが、小回り右回りなら問題なさそう。

ラヴェイ

牡3歳 父・エイシンフラッシュ

小西重征きゅう舎・盛岡

 門別1000m・2歳新馬戦を完勝。4戦1勝から昨年転入し、初戦2着後は苦戦の連続。盛岡対応にも手こずったが、冬場に本来の動きを取り戻して重賞・金杯を快勝した。今季初戦のスプリングカップでも2着にまとめたが、ネクストスター北日本7着、ダイヤモンドC11着に完敗を喫した。しかし前者は北海道勢が強い中、岩手最先着。ダイヤモンドCは盛岡が合わなかったと解釈すれば反撃必至。水沢に替わって本領を発揮する。

ユウユウコラソン

牡3歳 父・コパノリチャード

佐藤祐司きゅう舎・水沢

 岩手2勝2着2回3着1回から南関東へ移籍。3戦3着1回から帰郷し、ネクストスター北日本は11着だったが、以降は連戦連勝。3連勝を飾り、重賞・イーハトーブマイルを完勝した。一戦ごとに地力アップは疑いなし。勢いに乗って2000mも克服十分。

サウザンドマイル

牡3歳 父・グレーターロンドン

齋藤雄一きゅう舎・盛岡

 デビュー戦は850mが短すぎて2着に終わったが、ひと叩きされて動きも一変。2連勝を飾り、芝からダート変更した重賞・若鮎賞を1秒差で圧勝した。続いて交流・ジュニアグランプリ3着、ネクストスター盛岡2着後、骨折が判明。7ヶ月の休養を余儀なくされたが、復帰戦4着。この一戦を使って上昇確実。

タカラクロロック

牡3歳 父・ピナトゥボ

永田幸弘きゅう舎・盛岡

 いまだ未勝利ながら2着5回。前半で置かれる傾向があり、勝ち味に遅いタイプだが、父がジャイアンツコーズウェイの孫ピナトゥボ。母父シーザスターズ、祖母の父ガリレオ、さらにイギリスダービー馬シャーリーハイツも母系に入っている典型的な英愛血統。スタミナを要求される2000mに活路を求めてきた。