注目レース情報

第25回留守杯日高賞(M1)

水沢競馬場 ダ 1600メートル2025/4/20(日) 11R 18:15発走

レースについて

○歴史

 かつて日高賞のレース名で行われていたのが、1969年に創設されたアラブ系4歳(現表記・3歳)最高峰の一戦。サラブレッド系3歳重賞・不来方賞と並び、岩手競馬では最古のレース。日高賞はアラブ系、不来方賞はサラブレッド系ダービーとして長きにわたって盛り上げてきた。

 しかし日高賞はアラブ系の減少に伴い、1999年に廃止。1年置いて新たにサラブレッド系3歳牝馬重賞としてスタート。2004年から留守杯日高賞へ名称変更され、交流レースへ格上げ。さらに2005年から地方競馬全国交流へ昇格し、2010年から“GRANDAME-JAPAN”3歳シーズンに組み込まれた。

昨年優勝馬 エレノーラ

コースの特徴

○ダート1600m

4コーナーのポケットからのスタート。緩く右にカーブしながら4コーナーに入る形態のため昔から「内枠有利・外枠不利」と言われてきたが近年は外枠の活躍も目立ち、昨年も内枠の1番・3番が16勝したがそれを上回ったのが18勝した5番と10番だった。フルゲートの際の8枠にあたる11番や12番からの勝馬も決して少なくなく、枠連で言う6-8、7-8といった組み合わせの決着も珍しくはない。もちろん内枠の逃げ・先行馬は軽視できないが、しかし例え多頭数でも外枠を敬遠しすぎる必要はない…というのが近年の傾向と言える。

水沢競馬場コース図

データ分析

○遠征馬8勝、岩手2勝。浦和・桜花賞が重要ステップ

2024年 12頭立て 遠征馬3頭
1着 エレノーラ(川崎)
2着 ファーマティアーズ(大井) 浦和・桜花賞⑥
3着 レッドオパール(岩手)
2023年 12頭立て 遠征馬5頭
1着 ワイズゴールド(大井) 浦和・桜花賞④
2着 キャッツライズ(川崎) 浦和・桜花賞⑥
3着 フークエンジェル(船橋)浦和・桜花賞③
2022年 12頭立て 遠征馬6頭
1着 グラーツィア(船橋)
2着 ビッグタマテルーフ(岩手)
3着 ボサノヴァ(岩手)
2021年 12頭立て 遠征馬3頭
1着 スマイルミュ(北海道) 浦和・桜花賞④
2着 セカイノホシ(北海道)
3着 グロリオーソ(大井)
2020年 12頭立て 遠征馬5頭
1着 ボンボンショコラ(浦和) 浦和・桜花賞④
2着 レッドカード(北海道)
3着 キクノナナ(園田)
2019年 8頭立て 遠征馬2頭
1着 グローリアスライブ(川崎)
2着 ボルドープラージュ(岩手)
3着 ボルドーシエル(浦和)
2018年 8頭立て 遠征馬3頭
1着 エグジビッツ(北海道)
2着 スターギア(岩手)
3着 プリムラジュリアン(北海道)
2017年 11頭立て 遠征馬6頭(1頭取り消し)
1着 ダンストンレガーメ(岩手)
2着 グラマシー(名古屋)
3着 メドゥシアナ(岩手)
2016年 9頭立て 遠征馬1頭
1着 サプライズハッピー(岩手)
2着 チャイヨー(岩手)
3着 スクリーンハッピー(岩手)
2015年 11頭立て 遠征馬6頭
1着 ホレミンサイヤ(名古屋)
2着 ミトノレオ(名古屋)
3着 ロードウェーブ(笠松)

 留守杯日高賞は地方競馬全国交流にふさわしく、過去10年の地区別優勝馬は大井2勝、岩手2勝、北海道2勝、川崎2勝。ほかは浦和1勝、船橋1勝、名古屋1勝。各地区がまんべんなく優勝している。ただ大きな括りでは南関東6勝と抜けた優勝数。特に浦和桜花賞出走組は3勝2着2回の強力データ。一方、北海道所属馬は3年連続で不出場となっている。

 岩手勢は2勝と一見すると健闘しているよう映る。特に2016年は1着から3着まで上位を独占したが、遠征馬が1頭(名古屋ベッロポモドーロ/6着)のみ。以上のことから遠征馬有利の傾向は明らか。しかし岩手勢は2着4回、3着4回と馬券対象では健闘している。

○1番人気6勝、2番人気3勝。しかし人気薄の好走も少なくない

1着 2着 3着 勝率 連対率 複勝率
1番人気 6回 1回 1回 60% 70% 80%
2番人気 3回 2回 3回 30% 50% 80%
3番人気 0回 4回 1回 0% 40% 50%
4番人気 1回 1回 1回 10% 20% 30%
5番人気 0回 1回 1回 0% 10% 20%
6人気以下 0回 1回 3回

 1番人気の優勝は昨年エレノーラ、2023年ワイズゴールド、2022年グラーツィア、2021年ボンボンショコラ、2019年グローリアスライブ、2018年エグジビッツの6頭。地力を見せつけた恰好だった。2番人気の優勝は一一昨年のスマイルミュ、2017年ダンストンレガーメ、2016年のサプライズハッピー。1番人気に接近している。4番人気の優勝は2015年、名古屋のホレミンサイヤ。さらに“GRANDAME-JAPAN”へ昇格して以降、過去12回とも4番人気以内の馬が優勝している。ただし6番人気以下は優勝こそないが、2着1回、3着3回。高配当を演出している点は頭に入れておきたいところ。

○勝利戦法は逃げか、先行か

1着 2着 3着
逃切 3回 0回 2回
先行 6回 8回 1回
差し 1回 2回 6回
追込 0回 0回 1回

 水沢1600mを舞台に行われる留守杯日高賞は逃げ切り3回、先行6回。先行有利と言われるダート競馬では当然のことだが、この時期の3歳牝馬も逃げ、先行が圧倒的優位に立っている。やはり先行策を取れるのが好走要因と見ていい。

 ただ1回だけ差しが決まったのは2016年のサプライズハッピーだが、先にも記したとおりその時は遠征馬が1頭のみ。ほぼ地元同士の戦いとなったため、サプライズハッピーは普段どおりの競馬ができた。結論は決め手より絶対スピード優先。

○優勝条件は基本2勝以上

2024年 エレノーラ 2勝
2023年 ワイズゴールド 1勝
2022年 グラーツィア 4勝
2021年 スマイルミュ 3勝
2020年 ボンボンショコラ 1勝
2019年 グローリアスライブ 2勝
2018年 エグジビッツ 3勝
2017年 ダンストンレガーメ 4勝
2016年 サプライズハッピー 3勝
2015年 ホレミンサイヤ 5勝

 おそらく岩手競馬ダートでこのようなデータはまずないだろう。先行タイプの優勝馬は一昨年のノーブルサターン1頭のみ。ダートでこれは非常に稀なケース。昨年のノーブルサターンは差し競馬で1着だった。それに対し、逃げ切りが4回。これは想定内だが、追い込み1勝2着2回は非常に珍しい。水沢は1周1200m平坦の小回り。重賞でこの戦法が決まるのは驚きだ。考えらるのは展開。先行ペースになれば逃げ切りが決まり、ハイペースになれば追い込みが決まるいうこと。もう一つは冬期間の水沢は馬場凍結対策として融雪剤が撒かれ、オールウェザーのような粘土質の砂になる。海外でもそうだが、オールウェザーの馬場は芝馬有利になるケースが多く、追い込みも決まる。結論は“展開を重視。芝馬もチェック”。

有力馬紹介

フリーダム

牝3歳 父シャンハイボビー

宗形竹見きゅう舎・大井

 大井3勝から南関東牝馬クラシック路線へ名乗り。ユングフラウ賞4着から一冠目の浦和・桜花賞へ挑戦したが、スタートで出遅れ。さらに4コーナーで進路をカットされる大きな不利も重なり、10着に終わった。だた、直近5年で桜花賞から留守杯日高賞組は3勝2着2回3着1回。2023年ワイズゴールド、2021年スマイルミュ、2020年ボンボンショコラが優勝を果たしており、まさに直結するレース。待望の重賞制覇に王手をかけた。

モンゲーキララ

牝3歳 父エスポワールシチー

鈴木義久きゅう舎・川崎

 川崎で3勝をマークし、重賞も3度挑戦。ローレル賞、ユングフラウ賞、浦和・桜花賞とすべて9着だったが、桜花賞では大外12番枠に入りながらも向こう正面で4番手まで進出。強豪相手だったことを考えれば内容は悪くなかった。今回はメンバーが緩和され、首位争いは確実。

ファーマビューティ

牝3歳 父カルフォルニアクローム

大宮和也きゅう舎・大井

 門別2勝2着3回から大井へトレードされ、3戦目を快勝した。近3戦は着外に終わったが、枠順にも恵まれなかったのは事実。今回は2番枠を引き当て、コースロスなくレースを進めるのは有利材料。うまく流れに乗って上位進出を狙う。

スノーミックス

牝3歳 父タワーオブロンドン

永田幸宏きゅう舎・盛岡

 デビュー3戦2勝2着1回で2歳シーズンを終了。今季は初戦にスプリングカップを選び、牡馬相手に4着健闘した。続くトライアル・あやめ賞で1番人気に支持されたが、3コーナーで失速。初めて大敗を喫したが、経験値の差も出た格好。この敗戦を糧に巻き返しに意欲満々。

フタイテンホイール

牝3歳 父モンテロッソ

齋藤雄一きゅう舎・盛岡

 デビュー4戦目の盛岡ダート1400mを快勝後に中央入り。芝路線を歩み、クラシック路線を目指す強豪と対戦し続けてきた。帰郷後は2戦4着止まりだが、パワーの要る馬場に手こずっていた印象。馬体回復、脚抜きのいい馬場を条件に巻き返しに転じる。

ステイクラッシー

牝3歳 父レインボーライン

瀬戸幸一きゅう舎・水沢

 新馬戦1着、2戦目・若鮎賞3着、3戦目2勝目をあげて好発進を決めた。その後は凡走を続け、南関東でも2戦着外に終わって再転入。あやめ賞7番人気に甘んじたが、差しに転じて2着を確保した。揉まれない競馬ができれば再現まで。