注目レース情報

第29回東北優駿(岩手ダービー)(3歳M1)

水沢競馬場 ダ 2000メートル2021/6/13(日) 11R 18:15発走

レースについて

○歴史

 “岩手ダービー”の始まりは2006年。全国の地方競馬で行われるダービーを短期集中型で実施し、多くのファンに楽しんでいただきたい―の趣旨のもと『ダービーウィーク』を創設。岩手競馬はダイヤモンドカップを岩手ダービーとした。

 当初は全国6場でスタートしたが、2017年には石川ダービー(金沢)、高知優駿も加わり、『ダービーシリーズ』へ改名。北から北海優駿、東北優駿(岩手ダービー)、東京ダービー、石川ダービー、東海ダービー、兵庫ダービー(園田)、高知優駿、九州ダービー栄城賞(佐賀)と各地区もれなくダービーを楽しめるようになった。

 また岩手競馬は2年前、かつての名物レース・東北優駿を復活させ、岩手ダービーをダイヤモンドカップから移行。さらに昨年は三冠体系を再構築。一冠目・ダイヤモンドカップ、二冠目・東北優駿(岩手ダービー)、三冠目・不来方賞のレース体系を確立した。

 今年は東北優駿の1着賞金を倍増の1000万円へ増額。名実ともに“岩手のダービー”へ昇格した。なお、東北優駿のカウント(回数)は三県(新潟・上山・岩手)持ち回りだった時代を踏襲。今年は29回目の東北優駿(岩手ダービー)となる。

 今回は2011年から2018年はダイヤモンドカップ、2019年、2020年は東北優駿のデータ。開催場所は2011年から2016年が盛岡、2017年から2019年は水沢、2020年は盛岡です。

昨年優勝馬 フレッチャビアンカ号

コースの特徴

○ダート2000m

 2コーナー直後からスタートして先行争いは向こう正面一杯を使うが、流れは意外に落ち着きやすい。

 注意すべきは馬番よりも人気。過去5 年間では5番人気以下からの優勝がなく、連対率にしても1番人気のそれが72.2%という人気上位が強い条件だ。

 今季この距離を使用するのは3つのM1重賞のみ。いずれもそれぞれの時期の総決算的なレースでもあり、人気上位馬が強い傾向は引き続き変わりがないだろう。

水沢競馬場コース図

データ分析

“ダービーは強い馬が勝つ!”の神話は崩れたか?

1着 2着 3着 単勝率 連対率 複勝率
1番人気 6回 3回 0回 60% 90% 90%
2番人気 1回 1回 5回 10% 20% 70%
3番人気 1回 3回 2回 10% 40% 70%
4番人気 1回 1回 1回 10% 20% 30%
5番人気 1回 0回 0回 10% 10% 10%
6人気以下 0回 2回 2回      

 まずは昨年のデータを紹介してみたい。2010年から2019年まで岩手ダービーは1番人気7勝2着3回。勝率70%、連対率100%と信頼度は絶大だった。

 まさに“岩手ダービーにフロックなし”だったが、昨年は1着フレッチャビアンカ(5番人気)、2着ピアノマン(3番人気)、3着レールガンの順で入線。

 2006年、岩手ダービーが創設されて初めて5番人気が優勝した(当然だが、6番人気以下の優勝もなし)。後述するが、昨年はダービー史上3連単最高配当も飛び出した。

 しかし、その後のフレッチャビアンカの活躍を思い出してほしい。東北優駿(岩手ダービー)を皮切りに、不来方賞、全国交流・ダービーグランプリと盛岡ダート2000m重賞3連勝。年度代表馬にも選出された。

 なぜフレッチャビアンカが5番人気の低評価だったか。一冠目ダイヤモンドカップでグランコージーに完敗2着。9馬身差も突き放された。加えて父がキンシャサノキセキがスプリント路線で活躍し、2000m対応ができるかどうか。当時は盛岡も未経験と不確定要素が重なった。

 それを見事跳ね返したフレッチャビアンカには脱帽した上で、改めて言わなければならない。“岩手ダービーにフロックはない”と。

 一方、2番人気は1勝2着1回3着5回。昨年も2番人気に支持されたマイランコントルはハナを主張したが、ハイペースがたたって9着に沈んだ。1番人気、2番人気の両雄決着は成り立たないのか。今年の結果に注目してみたいと思っている。

ダートの王道2000mにポジションは関係なし

1着 2着 3着
逃切 5回 0回 0回
先行 2回 3回 6回
差し 3回 6回 3回
追込 0回 1回 1回

 ダートのクラシックディスタンスは2000m。古い時代、長距離が主流だった頃も各地区の最大レースはほぼ2000mが舞台だった。岩手では(一條記念)みちのく大賞典、桐花賞はコースを問わず一貫して2000mで実施されてきた。

 東北優駿、ダイヤモンドカップも岩手ダービーとして行われて以降、距離は2000m。脚質の有利不利はほぼないと思っていい。

 昨年はフレッチャビアンカは前半7番手を追走、2着ピアノマンは6番手から早めに動き、3着レールガンは後方2番手からの競馬。上位3頭すべて脚質は“差し”だった。

 ダート競馬は基本、先行有利と言われているが、表を見てもわかる通り、3着以上は先行、差しに集中。岩手ダービーは差しタイプでも十分届いている。

 あと興味深いのは逃げ切り。過去10回で5回と50%の勝率を誇っているが、2着0回3着0回。勝つか、凡走かの極端な結果となっている。しかも優勝5回とも3番人気以内。人気薄での逃げ切りは相当厳しいと見ていい。

優勝条件は前走2着以上

2020年 1着フレッチャビアンカ ダイヤモンドカップ2着
2019年 1着パンプキンズ やまびこ賞2着
2018年 1着チャイヤプーン やまびこ賞1着
2017年 1着キングジャガー やまびこ賞1着
2016年 1着エンパイアペガサス やまびこ賞1着
2015年 1着ロールボヌール 3歳A級1着
2014年 1着ライズライン やまびこ賞1着
2013年 1着ヴィゼロワン 3歳B1級1着
2012年 1着アスペクト 3歳B1級1着
2011年 1着ベストマイヒーロー 七時雨賞1着

 2011年から2018年までの岩手ダービー優勝馬はすべて前走1着。データ外だが、2010年のロックハンドスターも阿久利黒賞1着。2018年まで前走1着が絶対条件だったが、東北優駿(岩手ダービー)の復活とともに前走2着馬が2年連続で優勝している。

 2019年のパンプキンズはやまびこ賞(水沢1900m)2着。昨年もフレッチャビアンカは一冠目・ダイヤモンドカップ2着から優勝を果たした。

 昨年、三冠体系が再構築され、おそらく完成形。今後、歴史を積み重ねてデータも確立すると思うが、現三冠で最も達成ハードルが高いのは1600mで行われるダイヤモンドカップ→2000mへ延長される東北優駿(岩手ダービー)の二冠達成。

 三冠目・不来方賞は東北優駿と同じ2000mで行われるため、仮に二冠達成すれば三冠馬誕生の可能性大。よって二冠目が最大難関になる予感を抱かせる。

本命サイドは過去8回、大荒れは2回

単勝平均配当 428円
馬連複平均配当 977円
3連単平均配当 36702円
単勝・過去最低配当 100円
2010年ロックハンドスター、2011年ベストマイヒーロー、2015年ロールボヌール
単勝・過去最高配当 1290円
2013年ヴィゼロワン
馬連複・過去最低220円
2010年 1着ロックハンドスター 2着モエレフットライト
2014年 1着ライズライン 2着シグラップロード
馬連複・過去最高配当 4290円
2020年 1着フレッチャビアンカ 2着ピアノマン
3連単・過去最低配当 490円
2015年 1着ロールボヌール 2着トーホクライデン 3着オテロ
3連単・過去最高配当 23万6610円
2020年 1着フレッチャビアンカ 2着ピアノマン 3着レールガン

 昨年のフレッチャビアンカ(5番人気)→ピアノマン(3番人気)→レールガン(7番人気)の着順で平均配当が一気に上がってしまった。馬連複、3連単とも抜けた高配当。特に3連単は23万6610円によって昨年(2010年~2020年)の平均配当1万3575円を3万6000円台に引き上げた。

 しかし2013年優勝ヴィゼロワン(単勝1290円)、2020年1120円を除く8回の平均は何と178円。馬連複も昨年の4290円を除く平均は522円。いきなりガチガチ配当に替わってしまう。

 岩手ダービーは荒れる時は大荒れ。本命サイド決着ならガチガチ配当と両極端なデータとなった。

有力馬紹介

リュウノシンゲン

牡3歳 父・グランプリボス

菅原勲きゅう舎(水沢)

 非凡なレースセンスでデビュー2連勝を飾り、2歳第一弾の重賞・若鮎賞へ挑戦。未経験の芝にとまどってマツリダスティールの3着に敗れたが、ダートに戻って重賞・ビギナーズカップを完勝。

 続いてJRA認定、重賞・若駒賞と3連勝をマークして全国交流・南部駒賞へ挑戦したが、激戦区・北海道2歳との経験値の差もあってギガキング、シンタロウに完敗を喫した。しかし地元同士の戦いに戻って寒菊賞、金杯と連勝。9戦7勝の成績を収めて2歳最優秀馬に選出された。

 冬場は北海道・加藤ステーブルへ移動して体力強化。4月、プラス19キロでスプリングカップから始動したが、太目感はまったくなし。一回りも二回りも逞しい体になっていた。

 レースでも意表を突く逃げの手に出て驚いたが、陣営は想定内。2歳時は早め先頭に立つととぼけるクセがあったが、直線を向いてさらに加速。2着ファイントリックに9馬身差をつけ、心身ともに大きく成長したことをアピールした。

 迎えた岩手クラシック一冠目・ダイヤモンドカップでは牝馬№1ゴールデンヒーラーが名乗りをあげたが、2馬身半差で完勝。重賞4連勝を果たした。

 その後は東北優駿に照準をピタリと合わせて調整。万全の態勢で臨むが、今度は2000mが舞台。距離対応が最大の課題となったが、坂口裕一騎手「未知の距離は全馬にも言えること。むしろ楽しみの方が大きい」とコメント。二冠制覇に王手をかけた。

ゴールデンヒーラー

牝3歳 父・タートルボウル

佐藤祐司きゅう舎(水沢)

 デビュー2連勝から芝重賞・若鮎賞はリュウノシンゲンとまったく同じローテーション。芝も未経験だったが、リュウノシンゲンに先着し2着を確保した。続く2戦は2、5着と足踏みしたが、北海道交流・知床賞でハイレベル・北海道勢を一蹴。重賞昇格後、初めて岩手勢に優勝をもたらした。

 さらに牝馬全国交流・プリンセスカップでも遠征馬を相手に堂々、1着でゴール。2歳馬で初めて最優秀短距離馬に選出された。

 今シーズンはあやめ賞から戦列に戻り、貫禄の優勝。既定路線は留守杯日高賞だったが、牡馬クラシック挑戦を表明。ダイヤモンドカップ史上最強メンバーが顔をそろえた。

 レースは2番手を追走するリュウノシンゲンをぴったりマークして3番手をキープ。3コーナーで徐々にプレッシャーをかけたが、直線で突き放されて2馬身半差2着。完敗を喫した格好だが、最後また差を詰めていたのは事実。初の2000mを制するのはどちらか。

サンエイマジック

牡3歳 父・ホッコータルマエ

鈴木七郎きゅう舎(水沢)

 盛岡ダート1000m・2歳新馬戦を勝ち上がり、3戦1勝から南関東へ移籍。2戦1勝後、岩手へ里帰りしてダイヤモンドカップで3着確保した。

 スロースターターのため直線伸びても届かないケースが多いが、距離も短かったか。父はG/JpnⅠで10勝をマークしたホッコータルマエ。川崎記念(2100m)3連覇を含めで2000m前後で活躍したことを考えれば距離延長は大歓迎。3代父にティンバーカントリーも長距離向きを後押し。一発ならこの馬か。

ベニスビーチ

牝3歳 父・ノボジャック

畠山信一きゅう舎(水沢)

 北海道7戦1勝から笠松へトレード。4戦2勝2着2回のパーフェクト連対を続け、重賞・新春ペガサスカップ2着。南関東移籍では3戦5着が最高だったが、岩手入り初戦の牝馬重賞・あやめ賞2着。続く牝馬全国交流・留守杯日高賞では岩手最先着(4着)を果たした。

 牝馬らしく直線の切れ勝負型。そして兄は2015年の岩手ダービー(当時はダイヤモンドカップ)馬ロールボヌールと血統背景も魅力。牡馬にひと泡吹かすか。

グランフォロミー

牡3歳 父・ストロングリターン

櫻田康二きゅう舎(盛岡)

 北海道5戦1勝から交流・知床賞へ参戦して5着。そのまま岩手へ移籍して寒菊賞、金杯で連続2着。特に金杯ではリュウノシンゲンにアタマ差まで肉薄した。

 冬期間は千葉で過ごしてスプリングカップから始動3着。2戦目・ダイヤモンドカップに臨んだが、伸びひと息で6着に終わったが、見限るのは早計。リュウノシンゲン9勝のうち、最も僅差を演じたのがグランフォロミー。巻き返しに転じて不思議はない。