注目レース情報
第20回 トウケイニセイ記念OPM2
水沢競馬場 ダ 1600メートル2021/1/11(月) 10R 15:50発走
レースについて
○歴史
43戦39勝2着3回3着1回。岩手競馬史に残る“伝説の名馬”トウケイニセイを冠名とした「トウケイニセイ記念」の創設は2000年。第1回、第5回は12月に実施されたが、ほかはレギュラーシーズン最終週に行われ、岩手競馬を締めくくるフィナーレ重賞として定着した。
第3回から第5回までトニージェントが3連覇の偉業を達成。第7回、第8回はテンショウボスが2連覇を果たしたが、以降は連覇達成馬が誕生していない。2020年度ラスト重賞を制するのはどの馬か。

昨年優勝馬 センティグレード
コースの特徴
○水沢ダート1600m
4コーナーのポケットからスタートしカーブを切りながら4コーナーに入るコース形態から昔から「内枠有利」と言われてきた。実際、過去5年の勝率でも最内にあたる1番がトップをキープしているだけでなく内枠の馬番が上位を占めている。しかし近年は外枠の存在感が増し、フルゲートの際の8枠にあたる11番や12番からの勝馬も決して少なくはなく、枠複の8-8や7-8の決着も珍しくなくなっている。もちろん内枠有利の基本傾向は変わらないにせよ、7枠8枠といった外枠にもよく目を向けておきたい。

水沢競馬場コース図
データ分析
ステップはバラバラ。冬場の好調馬を狙え
2020年
1着 センティグレード←A級③←A級①
2着 ブルージェット←大井A2⑤←大井A2⑬
3着 スカイサーベル←A級④←A級④
2018年(2019年は休止)
1着 タイセイファントム←白嶺賞③←絆カップ①
2着 ワットロンクン←白嶺賞②←道営記念⑮
3着 アントニオピサ←桐花賞⑨←白嶺賞⑦
2017年
1着 ミラクルフラワー←A級②←A級②
2着 アントニオピサ←桐花賞②←北上川大賞典②
3着 ナリタスーパーワン←桐花賞⑥←J東京OP⑭
2016年
1着 ラブバレット←兵庫GT取消←笠松GP①
2着 エーシンシャラク←A級①←白嶺賞②
3着 ワットロンクン←白嶺賞①←栗駒賞②
2015年
1着 キモンレッド←白嶺賞③←A級①
2着 ライズライン←白嶺賞①←ダービーGP⑥
3着 クロワッサン←白嶺賞②←A級①
2014年
1着 ドリームクラフト←白嶺賞①←栗駒賞①
2着 エバーオンワード←桐花賞⑧←北上川大賞典④
3着 スーブルソー←桐花賞①←A級②
2013年
1着 ティムガッド←A級①←A級⑦
2着 スーパーワシントン←A級②←白嶺賞⑥
3着 コパノマユチャン←白嶺賞②←栗駒賞①
2012年
1着 ヒカルジョディー←白嶺賞⑩←A級⑧
2着 リリーレインボー←白嶺賞②←A級②
3着 シャイニーハリアー←白嶺賞③←A級①
2011年
1着 リュウノキングダム←桐花賞⑩←白嶺賞⑥
2着 ゴールドマイン←白嶺賞③←北上川大賞典③
3着 マヨノエンゼル←桐花賞②←白嶺賞②
2010年
1着 マヨノエンゼル←桐花賞②←白嶺賞③
2着 ゴールドマイン←桐花賞①←白嶺賞④
3着 アンダーボナンザ←A級②←A級②
昨年優勝したセンティグレードはA級3着から優勝。ほかにミラクルフラワー、ティムガッドも同様のステップでトウケイニセイ記念を制した。
もちろんトライアル・白嶺賞出走組から4頭の優勝馬を出し、一番直結するレースのように思えるが、白嶺賞1着からトウケイニセイ記念優勝は2014年のドリームクラフト1頭のみ。
今回のデータで目玉は“白嶺賞1着馬は割り引きが必要”だった。ドリームクラフトは同年度の年度代表馬。トウケイニセイ記念を含め重賞4勝をマークし、岩手競馬の顔にもなった実力馬。ほかに過去10年で白嶺賞1着馬ではライズライン2着、ワットロンクン3着(2015年)が最高。それ以外は不出走も含めて馬券対象にもなっていなかった。
ただ今年は降雪のために白嶺賞は休止。データとしては使えないが、来期以降のために頭の片隅に置いてほしい。
あと近年は減少傾向にあるが、桐花賞組もチェックが必要。マヨノエンゼル、リュウノキングダムの2頭が優勝。2着にもエバーオンワード、アントニオピサが入っている。
1番人気3勝、2番人気3勝。しかし6番人気以下も3勝
1着 | 2着 | 3着 | 単勝率 | 連対率 | 複勝率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1番人気 | 3回 | 3回 | 2回 | 30% | 60% | 80% |
2番人気 | 3回 | 2回 | 2回 | 30% | 50% | 70% |
3番人気 | 1回 | 1回 | 4回 | 10% | 20% | 60% |
4番人気 | 0回 | 1回 | 0回 | 0% | 10% | 10% |
5番人気 | 0回 | 1回 | 0回 | 0% | 10% | 10% |
6人気以下 | 3回 | 2回 | 2回 |
1番人気は3勝2着3回3着2回。ラブバレット、ドリームクラフト、マヨノエンゼルが優勝し、複勝率で80%。ひとまず面目を保っているが、ほかのデータに比べると正直、弱い数字。2番人気も同様だが、最も目につくのは4、5番人気。優勝は“0回”だけではなく、2着1回のみ。明らかに苦戦を強いられている。
一方、6番人気以下は3勝2着2回3着2回。3勝の内訳は2013年ティムガッド(8番人気)、2012年ヒカルジョディー(10番人気)、2011年リュウノキングダム(7番人気)。当然だが、単勝も2860円、6380円、2640円。ほかの各種馬券も超高配当となった。
芝実績にも注目が必要
上記の結果でティムガッド、ヒカルジョディーに共通するのは芝実績があること。ティムガッドは中央芝1200mで2勝マークして1000万下(2勝クラス)へ在籍。この年の2着スーパーワシントンは芝3勝。3着コパノマユチャンは中央芝1勝。盛岡芝・桂樹杯を優勝した。
ヒカルジョディーは中央芝1200m4勝。一時は準オープンまで出世したことがあった。
また1番人気で優勝したドリームクラフトは中央芝3勝。2018年に優勝タイセイファントムは函館芝1200m・2歳新馬戦1着。
芝巧者がトウケイニセイ記念で好走する理由は馬場状態にあると思っている。この時期は凍結防止の融雪剤を使用するため、通常の重不良馬場とはちょっと違っているようだ。水が浮いていても粘るような砂だというから、例えればオールウェザーみたいな馬場。それが芝巧者の好走につながっている。
ただし強力なデータではない。昨年のように芝実績がなくてもセンティグレード(芝は一度使って15着)が優勝。2着ブルージェット、3着スカイサーベルに至っては芝経験が一度もなかったケースもある。
以上のことから人気薄を狙うなら、芝実績馬にも目を向けてほしい。
ベテランを舐めたらあかんぜよ
1着 | 2着 | 3着 | |
---|---|---|---|
4歳 | 1回 | 1回 | 0回 |
5歳 | 2回 | 0回 | 4回 |
6歳 | 2回 | 3回 | 2回 |
7歳 | 1回 | 3回 | 2回 |
8歳 | 1回 | 3回 | 0回 |
9歳 | 2回 | 0回 | 1回 |
10歳 | 1回 | 1回 | 0回 |
トウケイニセイ記念は年明け1月の重賞(過去2回は12月に実施したが、近10回はすべて1月)。シーズンの括りでは1つ若いことになるが、それでも9歳の優勝がセンティグレード、ティムガッドの2頭。10歳馬はタイセイファントムが優勝し、他の重賞以上に高齢馬の活躍が目立っている。
それでも各世代からまんべんなく優勝馬が出ており、“高齢馬を狙え―”ではなく、“高齢馬も舐めたらあかんぜよ”。
逃げ切り4回、追い込み3回
1着 | 2着 | 3着 | |
---|---|---|---|
逃げ | 4回 | 2回 | 0回 |
先行 | 0回 | 4回 | 1回 |
差し | 3回 | 2回 | 9回 |
追込 | 3回 | 2回 | 0回 |
これまでの戦法別脚質とはまったく違うデータとなった。逃げ切り4回は結構多いが、逆に先行馬の勝利はなんと“0回”。これは主観も入るので判断は分かれるところだが、さらに差し3回はともかく追い込み3回には驚いた。
追い込み馬が1着はセンティグレード、ヒカルジョディー、リュウノキングダム。逃げ切りはミラクルフラワー、ラブバレット、キモンレッド、ティムガッド。
この真逆の脚質で優勝するのがトウケイニセイ記念の最大特徴。逃げペースになるのか、ハイペースで追い込み馬が有利になるのか。展開をじっくり検討してほしい。
有力馬紹介
ラブバレット
牡10歳
菅原勲きゅう舎(水沢)
2016年、2017年と2年連続で年度代表馬に選出され、2015年は特別表彰馬を受賞。1000万レース・笠松グランプリ3連覇の偉業を成し遂げ、重賞獲得数『15』。さらにJpnⅢ・クラスターカップへ5年連続で出走して2着1回3着3回。兵庫ゴールドトロフィー、北海道スプリントカップ2着など岩手競馬史に刻まれる強豪。また岩手生え抜きではトニージェント以来の1億円馬にもなった。
しかし南関東から帰郷後は本来の動きを取り戻せず、スプリント特別4着、早池峰スーパースプリント3着。この結果を受けてテンコートレセンへ移動。リフレッシュと回復に専念し、10月に復帰。初戦こそ4着に終わったが、2戦目を豪快なまくりで快勝。見事な復活劇を演じ、ファンを感動させた。その後は2度の開催取り止めでレース間隔は開いたが、2016年にトウケイニセイ記念を優勝した時も11月以来の実戦だった。タイセイブラストとの直接対決で2勝2敗の五分。今回がまさしく雌雄を決する一戦となった。
タイセイブラスト
牡8歳
佐藤雅彦きゅう舎(水沢)
JRA新潟ダート1800m1勝から南関東へ転籍。1600m5勝、1500mで1勝をマークしてA2級まで出世した。岩手初戦は5月12日、スプリント特別。5頭立て3番人気に甘んじたが、1番人気ラブバレットらを軽く一蹴。いま振り返れば2頭のターニングポイントとなった。続く早池峰スーパースプリントは1000mの忙しい競馬が合わず6着に終わったが、着実に白星を積み重ねて10月26日、盛岡ダート1400m戦で1分23秒4の破格タイムで完勝。トーヨーリンカーンがずっと保持していたレコードを0秒4更新した。
続く盛岡1200m戦でラブバレットの2着に敗れたが、水沢に戻ってマイル戦を圧勝。軌道修正に見事成功した。今回は前走と同じく水沢1600m戦。過去、マイル戦で8勝をあげ、ベストと言える舞台。ラブバレットに雪辱を果たす絶好のチャンスを迎えた。
センティグレード
牡10歳
千葉幸喜きゅう舎(水沢)
中央未勝利に終わったが、強烈な決め手を武器に南関東11勝。7歳12月に転入後、平場をメインに活躍したが、盛岡コースは2着が最高。勝ち星は6勝すべて水沢に集中し、今年1月のトウケイニセイ記念を快勝。9歳にして待望の重賞タイトルを獲得した。今シーズンも水沢2000mで行われた一條記念みちのく大賞典2着。また前走・桐花賞でも直線で猛追。あわや3着かと思わせる4着に突っ込んだ。毎年、この季節で好走するタイプ。2連覇の可能性は十分にある。
グランコージー
牡4歳
櫻田康二きゅう舎(盛岡)
昨年度の2歳最優秀馬は寒菊賞優勝後、放牧に出て休養。一度、南関東へ移籍してクラウンカップ6着から帰郷。岩手クラシック一冠目・ダイヤモンドカップから始動。1番人気はフレッチャビアンカに譲ったが、自らハイペースを形成しながら1秒5差で圧勝。2歳№1の強さをマザマザと見せつけたが、東北優駿(岩手ダービー)4着、不来方賞3着に敗退。主役の座をフレッチャビアンカに奪われたが、ダービーグランプリでは果敢に逃げて3着同着。グランコージーの意地を垣間見せた。今回はイーハトーブマイル3着以来の実戦だが、桐花賞をスキップしてトウケイニセイ記念に照準ピタリ。若さを前面に先輩たちを蹴散らすか。
アドマイヤメテオ
セン10歳
小西重征きゅう舎(盛岡)
中央芝2勝・1000万下(2勝クラス)から2019年に転入。なかなか結果を出すことができなかったが、終盤に本領発揮。絆カップ、白嶺賞、桐花賞と3戦連続で3着に健闘した。今シーズンは3月開催で1勝をあげ、幸先のいいスタート。以降は足踏みを続けたが、11月末に2勝目をマーク。寒い季節で全能力を発揮するタイプと見ていい。
アルーアキャロル
セン8歳
高橋純きゅう舎(水沢)
5度の骨折がありながら中央ダートで17戦4勝2着3回。ポテンシャルは相当高いと見て間違いない。転入初戦は6着に終わったが、3コーナーで一旦先頭に立って見せ場。ひと叩きされてゴールドアリュール産駒の血が騒ぐか。