注目レース情報
第50回一條記念みちのく大賞典M1
水沢競馬場 ダ 2000メートル2022/6/19(日) 11R 18:15発走
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水沢競馬場 ダ 2000メートル2022/6/19(日) 11R 18:15発走
みちのく大賞典は1973年に創設。今年は半世紀、区切りの50回目を迎える。岩手古馬の最高峰レースに君臨し、優勝馬の名前は盛岡、水沢などを往来する馬運車に刻まれる。
さすが最高峰レースにふさわしく、連覇(3連覇)した競走馬は岩手競馬史に残る強豪ばかり。第7、8回スリーパレード、第18、19回スイフトセイダイ、第19、20回グレートホープ(第19回は1着同着)、第22、23回モリユウプリンス、第26、27、28回メイセイオペラ(3連覇)、第32、33回トニージェント、そして昨年はエンパイアペガサスが第45回、46回に続いて3度目制覇。メイセイオペラ以来、史上2頭目の偉業を達成し、みちのく大賞典に新たな歴史を加えた。
さらに岩手デビュー馬で初の1億円馬となったトウケイフリート、その弟であり、“岩手競馬最強馬”トウケイニセイ、ナムラタイタンらが歴代優勝馬に名前を連ね、まさに岩手競馬史そのもの。
また日本の馬産界に多大な功績を残した一條牧夫、友吉親子の名前を後世に残すため、2006年からレース名称を一條記念みちのく大賞典とした。
過去10年の舞台は2012年~2015年は水沢、2016年は盛岡、2017年~2021年は水沢競馬場。
昨年優勝馬 エンパイアペガサス号
2コーナー直後からスタートして先行争いは向こう正面一杯を使うが、流れは意外に落ち着きやすい。過去5年間では6番の勝率が22.2%で最高。一方で最内の1番・大外の12番は0勝と不振。また過去5年間で1番人気は勝率55.6%・連対率83.3%。5番人気以下からの優勝はなく、人気上位、特に1番人気~3番人気が強い。今季もこの距離を使用するのは3つのM1重賞のみ。いずれも頂点競走でもあり、人気上位馬が強い傾向は変わりないだろう。
水沢競馬場コース図
1着 | 2着 | 3着 | 単勝率 | 連対率 | 複勝率 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1番人気 | 5回 | 0回 | 2回 | 50% | 50% | 70% |
2番人気 | 1回 | 2回 | 2回 | 10% | 30% | 50% |
3番人気 | 3回 | 3回 | 1回 | 30% | 60% | 70% |
4番人気 | 0回 | 2回 | 0回 | 0% | 20% | 20% |
5番人気 | 0回 | 1回 | 0回 | 0% | 10% | 10% |
6人気以下 | 1回 | 2回 | 5回 |
1番人気の優勝は昨年からさかのぼってエンパイアペガサス、ランガディア、エンパイアペガサス、エンパイアペガサス、ナムラタイタンの5頭。2番人気はコミュニティの1頭。3番人気はハドソンホーネット、ミラクルフラワー、トーホクキングの3頭。1番人気の勝率5割は信頼度の高さ。ただ、2番人気1回に対し、3番人気の優勝は3頭と上回っている。
実は1番人気→2番人気、2番人気→1番人気でワンツーが決まったのは過去10年で一度もなし。1番人気→2番人気で決まったのはデータ外となった2010年、マルヨフェニックス(1番人気)、キングスゾーン(2番人気)までさかのぼらなければならない。しかも当時は交流戦。1番人気、2番人気の本線は若干、疑いを持った方がいいかもしれない。両雄、並び立たずということか。
1着の優勝条件は3番人気以内だが、一度の例外が2013年。1着コスモフィナンシェ→2着トーホクキング(7番人気)→トーホクアロー(10番人気)と入り、単勝1390円、馬複1万3940円、馬単3万5200円、そして3連単83万560円の超ド級の万馬券が飛び出し、3連単はみちのく大賞典の最高配当。
過去にもブラーボウッズ(4番人気)、シネマパラダイス(8番人気)が優勝し、高配当が出たことがあったが、基本は上位人気の組み合わせが無難だろう。
1着 | 2着 | 3着 | |
---|---|---|---|
4歳 | 3回 | 1回 | 2回 |
5歳 | 4回 | 1回 | 1回 |
6歳 | 1回 | 1回 | 4回 |
7歳 | 0回 | 3回 | 3回 |
8歳 | 2回 | 3回 | 0回 |
9歳 | 0回 | 1回 | 0回 |
5歳馬の優勝はハドソンホーネット(レコード)、エンパイアペガサス、コミュニティ、トーホクキングの4頭。5歳馬は競走馬の円熟期と言われ、心身ともに完成する時期と重なるため納得の結果。
また4歳馬は過去10年でエンパイアペガサス、ミラクルフラワー、コスモフィナンシェの3頭が優勝しているが、みちのく大賞典49回の歴史では稀なケース。第3回カネヒエイが4歳馬初優勝を果たし、以降はスイフトセイダイ、テンショウボスのみ。つまり第1回から昨年48回まで4歳馬の優勝は計6頭。近10年では突出しているが、総合的には4歳馬の優勝ハードルは相当高いと見ていい。
一方、6歳以上も十分にチャンスはある。昨年もエンパイアペガサスが2013年、ナムラタイタン以来の8歳優勝を果たした。
過去10年では5歳優勝4回、4歳優勝3回と数字的にはリードしているが、年齢にはあまりこだわらない方がいいかもしれない。
2021年 | エンパイアペガサス | 父エンパイアメーカー(ミスプロ系) |
2020年 | ランガディア | 父キングカメハメハ(ミスプロ系) |
2019年 | ハドソンホーネット | 父ロージズインメイ(ヘイロー系) |
2018年 | エンパイアペガサス | 父エンパイアメーカー(ミスプロ系) |
2017年 | エンパイアペガサス | 父エンパイアメーカー(ミスプロ系) |
2016年 | ミラクルフラワー | 父プリサイスエンド(ミスプロ系) |
2015年 | コミュニティ | 父ブライアンズタイム(ロベルト系) |
2014年 | ナムラタイタン | 父サイスヴィグラス(ミスプロ系) |
2013年 | コスモフィナンシェ | 父ゴールドアリュール(SS系) |
2012年 | トーホクキング | 父キングリファール(ブラッシンググルーム系) |
さすがダート競馬でミスプロ(ミスタープロスペクター)系は強さを発揮。エンパイアペガサス3度優勝を含め、計6頭の優勝馬が出ている。対してSS(サンデーサイレンス)系は2頭と劣勢ムードだが、広義で言えばSSはヘイルトゥリーズン系。そうなるとハドソンホーネット、コミュニティもヘイルトゥリーズン系。決して劣勢ではない。2000mが舞台ならSS系にも十分出番はある。
あすなろ賞優勝 | みちのく大賞典 | |
---|---|---|
2021年 | チャイヤプーン | →3着 |
2020年 | パンプキンズ | →5着 |
2019年 | ハドソンホーネット | →1着 |
2018年 | グランウブロ | →3着 |
2017年 | エンパイアペガサス | →1着 |
2016年 | コミュニティ | →4着 |
2015年 | コミュニティ | →1着 |
2014年 | コウギョウデジタル | →不出走 |
2013年 | ザドライブ | →5着 |
2012年 | オウシュウサンクス | →5着 |
あすなろ賞1着馬は<3.0.2.4>。評価は分かれるところだが、過去10回で3頭の優勝馬は好データと判断したい。また一昨年はあすなろ賞→一條記念みちのく大賞典は中1週のローテーションだったが、昨年から中4週のローテーションに戻った。
加えてあすなろ賞は一貫して盛岡が舞台だったが、昨年から水沢1900mで実施。本番は2000mで行われ、ほぼ同じ条件。チャイヤプーンも3着だったことを考えれば、より直結するトライアルになる可能性が高い。
牡5歳 父ハードスパン(ノーザンダンサー系)
板垣吉則きゅう舎・水沢
デビュー3戦目、新潟ダート1800mで初勝利をあげ、JpnⅢ・北海道2歳優駿5着。その後は伸びを欠いていたが、3歳10月、船橋の条件交流で2勝目をマーク。翌年は盛岡で行われた東京カップけやき賞で逃げ切りを決めた。条件はいずれもダート1800m戦だった。3勝クラスでは3戦とも二けた着順に終わり、今年4月に岩手入り。初戦の赤松杯を快勝し、シアンモア記念5着からトライアル・あすなろ賞を0秒9差で圧勝。重賞2勝目を手にした。
赤松杯は1600mが舞台だったが、あすなろ賞(1900m)のようなゆったりと流れる中距離以上がベスト。今回の2000mを最も歓迎するのがマイネルアストリアと見て間違いない。
牡5歳 エスポワールシチー(サンデーサイレンス=SS系)
畠山信一きゅう舎・水沢
デビュー2連勝から一戦置いて重賞・平和賞を優勝。続いて全日本2歳優駿に駒を進めて快勝。父エスポワールシチーに初JpnⅠをプレゼントした。その後は交流・秋の鞍(名古屋)1勝のみにとどまり、自問自答の日々を送って昨年8月、スパーキングサマーカップ11着から休養。岩手へ新天地を求めてきた。
初戦の赤松杯は休養明けの影響もあってプラス16キロ。勝負どころの3コーナーで置かれてしまったが、直線で盛り返して0秒1差2着。敗れはしたが、収穫の多い一戦となった。続いてシアンモア記念に登場。4番人気に甘んじたが、コーナーでもたつかず直線で鮮やかな抜け出しを決めて優勝。実に1年6ヵ月ぶりの美酒を味わい、復活の雄たけびを上げた。
シアンモア記念からみちのく大賞典直行は当初の予定どおり。あとは2000m対応がネック。過去に川崎2000mで3着1回あるが、勝ち星はすべて1600m以下。距離克服が最大テーマといえるだろう。
牡8歳 父ステイゴールド(SS系)
小林俊彦きゅう舎・水沢
姉は阪神JF(GⅠ)を制し、最優秀2歳牝馬に選ばれたローブティサージュ。デビュー6戦まで芝を使って3着2回にとどまったが、7戦目の札幌ダート1700mで初勝利をマーク。翌年7月、再び芝に戻って2勝を積み上げ、3勝クラスに在籍した。岩手初戦は4歳3月以来、久々のダート戦だったが、豪快なまくりを決めて圧勝。能力の違いを見せつけた。芝ではマイル以下がメインだったが、ダートは1800mも経験済み。一躍、注目の1頭に浮上した。
牡5歳 父ベルシャザール(ミスプロ系)
櫻田康二きゅう舎・盛岡
2歳時、6戦5勝の成績で2歳最優秀馬の座を獲得。一度、南関東へ移籍してクラウンカップ(川崎)6着から里帰り。岩手一冠目・ダイヤモンドカップへ名乗りをあげ、9馬身差で圧勝。1番人気フレッチャビアンカに影をも踏ませなかった。しかし二冠目・東北優駿、不来方賞、ダービーグランプリはフレッチャビアンカの4、3、3着。主役を奪われてしまった。翌年4月、水沢A級戦を取り消し後、南関東へ移籍。半年の休養明け2戦は6、11着だったが、3戦目から連勝。続く一戦5着から再転入し、シアンモア記念へ挑戦。逃げ粘って0秒1差2着に惜敗した。こちらも2000mがカギを握るが、3歳時から比べて20キロ強の馬体増。一回り大きくなり、パワーもアップ。マイペースに持ち込めれば怖い存在となる。
セン9歳 父スズカマンボ(SS系)
板垣吉則きゅう舎・水沢
中央1戦0勝から名古屋2勝後、中央へ復帰。芝2600mで3勝をマークして2018年、GⅡ・アルゼンチン共和国杯3着。その後、金沢2勝、南関東0勝から岩手入り。あすなろ賞4着、A級戦3着と詰めが甘い印象だが、それならば2000m延長は望むところ。
牝4歳 父タートルボウル(ノーザンダンサー系)
佐藤祐司きゅう舎(水沢)
昨年は牡馬三冠に挑戦して2、4、2着。ほかにひまわり賞(オークス)、やまびこ賞と重賞2勝をマーク。牡馬とも互角以上の勝負を演じる強豪牝馬。今シーズンは3月末から始動。リリーモントルーを相手に1秒3差で圧勝し、満を持してシアンモア記念に登場。2番人気に支持され、4角で早め先頭に立ったが、最後伸びを欠いて3着。血統的に2000m向きとは言えないが、成長を続ける4歳馬。若さで牡馬を一蹴するか。