注目レース情報

第45回シアンモア記念(OP M1)

水沢競馬場 ダ 1600メートル2020/5/10(日) 11R 18:10発走

レースについて

○歴史

 シアンモア(Shian Mor)は1924年生まれ。ザ・ダービー(エプソムダービー=英ダービー)3着など14戦4勝2着2回3着2回の成績を残して引退。1927年(昭和2年)、小岩井農場が輸入した。

 産駒は第2回カブトヤマ、第3回フレーモア、第3回ガヴァナーと3年連続で東京優駿競走(日本ダービー)を制覇。ほかにも数々の強豪を輩出し、昭和初期の偉大な種牡馬と言われた。

 シアンモア記念は大種牡馬シアンモアに敬意を表し、1975年に創設。第1回から第5回まで距離1900m。第6回(1980年)からメイセイオペラが優勝した第25回(1999年)まで距離2000m。第26回(2000年)以降は1600m固定で行われ、現在に至っている。

昨年優勝馬 ロジストーム号

コースの特徴

○ダート1600m

 4コーナーのポケットからスタートしカーブを切りながら4コーナーに入るコース形態から昔から「内枠有利」と言われてきた。実際、過去5年の勝率でも最内にあたる1番がトップをキープしているだけでなく内枠の馬番が上位を占めている。しかし近年は外枠の存在感が増し、フルゲートの際の8枠にあたる11番や12番からの勝馬も決して少なくはなく、枠複の8-8や7-8の決着も珍しくなくなっている。もちろん内枠有利の基本傾向は変わらないにせよ、7枠8枠といった外枠にもよく目を向けておきたい。

水沢競馬場コース図

データ分析

トライアル・赤松杯は重要なステップレース

赤松杯1着馬
2019年ロジストーム→シアンモア記念1着
2018年ベンテンコゾウ→シアンモア記念1着
2017年イーグルカザン→シアンモア記念4着
2016年ナムラタイタン→シアンモア記念1着
2015年ナムラタイタン→不出走
2014年 ナムラタイタン→シアンモア記念1着
2013年 コンプリート→シアンモア記念11着
2012年 ヒカルジョディー→シアンモア記念2着
2011年 実施せず
2010年 ゴールドマイン→3着
2009年 ショーターザトッシ→5着

 シアンモア記念は2002年から東日本、九州交流。2005年から一昨年2018年まで地方競馬全国交流で実施。昨年から岩手重賞へ戻った。
 2014年から5年連続で岩手勢が5連覇(地元重賞の昨年は除く)を果たしているが、それ以前は遠征馬が4連覇したことを考えれば赤松杯、シアンモア記念を連勝した馬が4頭は好成績。
 また2012年のヒカルジョディー2着、ゴールドマイン3着は岩手最先着。2013年から2018年まで舞台が盛岡へ替わったが、赤松杯とシアンモア記念の連動性は非常に高い。
 昨年は赤松杯1、2着ロジストーム、イーグルカザンがシアンモア記念でも1、2着。一昨年は赤松杯1着ベンテンコゾウが優勝し、3着タイセイファントムが2着確保。やはり赤松杯はシアンモア記念に直結するレースだった。

ひとまず上位人気馬が好走だが…

表1
 1着2着 3着 勝率 連対率 複勝率
1番人気3回1回 2回 30% 40% 60%
2番人気4回3回 1回 40% 70% 80%
3番人気1回3回 4回 10% 40% 80%
4番人気0回3回 0回 0% 30% 30%
5番人気 2回 0回 3回 20% 20% 50%

以下

 1番人気3度優勝、2番人気4度優勝、3番人気1度優勝と3番人気以内の勝率は80%と非常に高い。ほぼ人気に応えていると判断できる。
 興味深かったのは5番人気以下の優勝。2017年のユッコ、2013年のトウホクビジンは同じ6番人気での優勝だったが、奇しくも両馬とも牝馬。荒れるときには牝馬が優勝するというデータがシアンモア記念にはある。
 ほかにシアンモア記念44回の歴史で牝馬優勝は第2回、女傑とカネマリモのみ。過去10回で牝馬2頭の優勝は誇るべき記録だ。[表1]

世代別優勝馬は4、5歳馬が若干優位

表2
 4歳5歳 6歳 7歳 8歳 9歳 10歳 11歳
1着3回2回 1回 1回 2回 0回 1回 0回
2着 0回 1回 2回 3回 2回 0回 1回 1回
3着 0回 2回 2回 3回 1回 2回 0回 0回

 各世代ともまんべんなく優勝馬を出しているが、4歳5度優勝、5歳2度優勝が目につく。
 8歳馬からも2頭の優勝馬が出ているが、1頭は10歳に2度目の優勝を果たしたナムラタイタン。
 中央GⅢ・武蔵野ステークスを優勝し、大物トレードで話題を集めた怪物。現在、サウスヴィグラス後継の1頭として種牡馬入りしているほどだから基準外。
 もう1頭の8歳馬は2010年、キングスゾーン(名古屋)だが、JpnⅢ・サマーチャンピオンを制し通算34勝をマークした強豪。
 以上のことから基本的に4、5歳馬が優位に立っていると見ていい。[表2]

やはりミスプロ系が中心かな?!

表3
2019年ロジストーム
(父アンブライドルドズソング ミスプロ系)
2018年ベンテンコゾウ
(父サウスヴィグラス ミスプロ系)
2017年ユッコ
(父ハーツクライ SS系)
2016年ナムラタイタン
(父サウスヴィグラス ミスプロ系)
2015年ライズライン
(父スクリーンヒーロー ロベルト系)
2014年 ナムラタイタン
(父サウスヴィグラス ミスプロ系)
2013年 トウホクビジン
(父スマートボーイ ノーザンダンサー系)
2012年 リュウノボーイ
(父サッカーボーイ ファイントップ系)
2011年 実施せず
2010年 キングスゾーン
(父キングヘイロー ノーザンダンサー系)
2009年 リュウノキングダム
(父スキャターザゴールド ミスプロ系)

 ダート1600mならミスプロ=ミスタープロスペクター系が強いと思って調べてみたら、想像どおりだった。過去10回中5回優勝。“ダート競馬の総本山”アメリカが生んだ大種牡馬ミスプロの血は強力だ。
 また昨年はミスプロ系ロジストーム、イーグルカザン(父イーグルカフェ)が1、2着。一昨年はベンテンコゾウ1着、ビタミンエース(父ケイムホーム)が3着を確保した。
 日本競馬と言えばSS(サンデーサイレンス)系が席巻しているが、ダートになると別。過去10年間でSS系が優勝したのはハーツクライ産駒ユッコ1頭のみ。やはりダート短距離、マイルではミスプロ系が強いことをシアンモア記念でも証明している。
 参考までに冠名シアンモアの血を引く優勝馬は2012年のリュウノボーイ。母方の8代祖先にシアンモア、さらには母系をたどると小岩井農場が輸入した基礎牝馬アシトニメント。改めて同農場の偉大さがうかがい知れる。
 余談ついでだが、今回の出走予定馬でシアンモアの血が入ってるのはマイネルネーベル、イーグルカザン。三冠馬シンザンからシアンモアへたどり、そのシンザンの母方から“グレートマザー”ビューチフルドリーマーへさかのぼることができる。[表3]

有力馬紹介

ランガディア

牡6歳

板垣吉則きゅう舎(水沢)

父・キングカメハメハ(ミスプロ系)

 祖母がオークス馬ダイナカール。母系にガーサント、ノーザンテースト、サンデーサイレンスと社台グループが代表する種牡馬がずらりと並び、父がディープインパクトと並ぶ名種牡馬キングカメハメハ。
 休み休みの実戦ながら、中央14戦6勝は血統のなせることだったかもしれない。
 転入初戦の赤松杯6番人気は岩手入り直前の総武ステークス16頭立て16着に終わったから。4ヵ月半ぶりの実戦に加え生涯初のダートだったにせよ、しんがり負け。
 戦前はダート対応、さらには時計のかかる水沢の馬場が不安視されたが、それをあざ笑うかのように圧勝。ナムラタイタン以来、衝撃の岩手デビューを飾った。
 前半はじっくり待機し、向正面からスパートをかけると圧巻のひとまくり。4角で先頭に立った上、直線でさらにギアをアップ。2着に9馬身差をつけ、能力の違いを見せつけた。
 ダートもまったく問題ないことを証明したら鬼に金棒。シアンモア記念も制したら、夢は広がるばかり。先の話になるが、マーキュリーカップでも地元切り札となるに違いない。

ヤマショウブラック

牡4歳

小林俊彦きゅう舎(水沢)

父・ルースリンド(ミスプロ系)

 父はエルコンドルパサー産駒で血統構成はミスプロ4×4のインブリード。強力なミスプロの血がクロスされている。
 北海道6戦2勝から交流・知床賞へ参戦。豪快な直線抜け出しを決めて初重賞を獲得した。直後に岩手へ転籍し寒菊賞2着から南関東へ移籍。
 なかなか勝ち星をあげることはできなかったが、羽田盃5着に健闘。古馬B2でも1勝をマーク後、岩手へ再転入。不来方賞をハナ差ながら勝利をモノにしてダービーグランプリ4着。
 続いて古馬オープン初挑戦・白嶺賞でエンパイアペガサスに僅差で屈したが、ファン投票・桐花賞で雪辱。年度代表馬、3歳最優秀馬へ選出された。
 冬期間も岩手で過ごし、赤松杯から始動。スティンライクビーにも先着を許して3着に敗れたが、あくまでも目標はシアンモア記念。休み明けを叩かれて良化は確実だろう。
 ランガディアとの9馬身差。そして本質的にはステイヤーゆえ1600mはベストではないが、4歳馬の成長力が最大の武器。打倒一番手に位置する。

エンパイアペガサス

牡7歳

佐藤祐司きゅう舎(水沢)

父・エンパイアメーカー(ミスプロ系)

 こちらもミスプロ4×4、さらにノーザンダンサーの4×5×5のインブリードを持つ。
 デビューは2歳10月までずれ込んだが、3戦目から不来方賞まで8連勝。3歳重賞を総なめにした。その後も躍進を続け、南関東・報知グランプリカップ、笠松・オグリキャップ記念を含めて獲得したタイトルは合計15個。岩手の“帝王”に君臨する。
 昨年はM1タイトルこそ手にしなかったが青藍賞、白嶺賞を制覇。そのパフォーマンスの高さから4歳以上最優秀馬へ選出された。
 意外にもシアンモア記念は初出走だが、単にローテーションの都合。水沢1600mは5戦4勝の好成績を誇り、今回の舞台は望むところ。
 赤松杯は出遅れを喫し、最後方からの競馬となったのが致命傷。5着も仕方なしだった。休み明け2戦目7戦4勝の成績からも巻き返しに転じて当然。

ロジストーム

牡7歳

千葉幸喜きゅう舎(水沢)

父・アンブライドルズソング(ミスプロ系)

 父は2017年、北米リーディングサイアーでロジストームは持ち込み馬。母父ストームキャット、ミスプロ4×4と典型的なアメリカン血統だが、ロジストームの祖母ボスラシャムは英1000ギニー、英チャンピオンSを制し、カルティエ賞3歳最優秀牝馬に選ばれた強豪。  ロジストームは福島芝2000m・2歳新馬戦を勝ち上がったが、4戦目の一戦後に骨折が判明。  1年11ヵ月の長期休養を余儀なくされ、南関東で復帰。3戦目から4連勝を飾った。  岩手入りは一昨年4月。赤松杯で2着確保したが、4ヵ月リタイア。復帰後は本格化を見せて白嶺賞を優勝。待望の初重賞を手にした。  昨年の冬期間は南関東で2戦を使って再転入。赤松杯、シアンモア記念を連勝して春のマイル王に君臨し、秋には絆カップを優勝。マイル適性を存分に発揮した。  今季初戦の赤松杯は久々と大外もこたえて8着に沈んだが、550キロ前後の超大型馬で変わり身必至。シアンモア記念2連覇を目指す。

スティンライクビー

セン8歳

飯田弘道きゅう舎(盛岡)

父・キンシャサノキセキ(サンデーサイレンス系)

 ヘイロー4×4。中央未勝利から岩手3連勝後、再び中央入り。3勝をマークして準オープンまで駆け上った。昨年9月、岩手へ転入4戦1勝。その後、笠松へ移籍して2着1回から3度目の岩手入りし、連続2着。先行力と粘り強さを身上とする。