注目レース情報

第29回マーキュリーカップ(JpnⅢ)

盛岡競馬場 ダ 2000メートル2025/7/21(祝月)

レースについて

○歴史

 マーキュリーカップはOROパークが完成した翌年、1997年に創設された。当時、水沢初のダートグレード競走で話題を呼び、第2回はメイセイオペラが第1回覇者パリスナポレオン相手に7馬身差で圧勝。後に南部杯、フェブラリーステークス、帝王賞とG(Jpn)Ⅰを3勝する礎(いしずえ)的レースとなった。2017年からメイセイオペラ記念の副称が付記されたのは、以上の背景による。

 第4回から舞台は盛岡ダート2000mへ替わり、現在に至っているが、オースミジェットは第3回を水沢、第4回を盛岡で連覇。同一レースでは非常に珍しい連覇を果たした。ほかに2連覇を達成したのはミツバ(第21回、第22回)、そしてマスターフェンサー(第24回、第25回)。

 メイセイオペラのほかにマーキュリーC優勝後、G(Jpn)Ⅰを制したのは15回ゴルトブリッツ(帝王賞)、第21回、22回を連覇したミツバ(川崎記念)の2頭。また第19回は大井代表ユーロビートが圧勝。メイセイオペラ以来、史上2頭目の地方所属馬優勝の快挙を果たした。一方、岩手勢は2020年、ランガディアが3着、2022年もヴァケーションが3着に善戦した。

昨年優勝馬 クラウンプライド

コースの特徴

○ダート2000m

向こう正面左手・2コーナーの直後からスタートして一周半、スタンド前を二度通過する長丁場。流れが落ち着きやすく、逃げ・先行馬が上位を占める結果が多い。というのもこの距離を使用するのは基本的にM1クラスの重賞でありメンバーはいずれも実力馬。展開的な紛れが生じづらい事が背景にあるだろう。過去5年・のべ16レースで1番人気は8勝、2番人気3勝。昨年の桐花賞を6番人気で制したライアンが久しぶりの5番人気以下からの勝利だった。勝ち馬の位置は1コーナーや2コーナーで中団にいても最後の4コーナーでは先頭というパターンがほとんど。機動力と決め手を兼ね備えた馬に注目。

盛岡競馬場コース図

データ分析

○ブリリアントS、平安S、アンタレスS出走組に注目

2024年
1着 クラウンプライド 佐賀記念⑧←東京大賞典⑦
2着 ビヨンドザファザー アハルテケS①←仁川S⑩
3着 ロードアヴニール 招福S①←豊中S①
2023年
1着 ウィルソンテソーロ かきつばた記念①←名古屋城S⑤
2着 テリオスベル 平安S←ダイオライト記念②
3着 メイショウフンジン 三宮S←平安S
2022年
1着 バーデンヴァイラー アンタレスS⑮←総武S①
2着 テリオスベル スレイプニルS①←下総S①
3着 ヴァケーション みちのく大賞典③←シアンモア記念
2021年
1着 マスターフェンサー 平安S⑪←ダイオライト記念④
2着 パンクオブクラウズ スレイプニルS←ブリリアントS②
3着 ヒストリーメイカー アンタレスS②←マーチS②
2020年
1着 マスターフェンサー スレイプニルS②←ブリリアントS②
2着 デルマルーヴル フェブラリーS⑬←川崎記念③
3着 ランガディア みちのく大賞典①←シアンモア記念①
2019年
1着 グリム アンタレスS②←名古屋大賞典①
2着 ノーブルサターン アハルテケS③←ブリリアントS⑫
3着 テルペリオン スレイプニルS①←ブリリアントS⑧
2018年
1着 ミツバ 平安S④←アンタレスS②
2着 ヨシオ マリーンS④←大沼S②
3着 フェニックスマーク ブリリアントS①←アレキサンドライトS①
2017年
1着 ミツバ ブリリアントS①←アンタレスS⑪
2着 ピオネロ 平安S④←名古屋大賞典②
3着 クリノスターオー 平安S⑭←コリアC②
2016年
1着 ストロングサウザー 平安S⑨←ダイオライト記念⑥
2着 タイムズアロー 京成盃グランドM④←かしわ記念⑥
3着 マイネルバイカ ダイオライト記念⑤←佐賀記念④
2015年
1着 ユーロビート 帝王賞④←大井記念②
2着 ソリタリーキング 平安S←ブリリアントS②
3着 トウショウクリーク アンタレスS⑮←マーチS⑧

 まず目につくのは平安S出走組。同レースは2012年まで実施時期が1月だったが、2013年から5月へ移行。距離も京都ダート1800mから1900mへ延長(2022年、2021年は中京ダート1900mで実施)された。平安Sで上位確保ならベターだが、着順はあまり気にしなくていい。平安Sを使ってきたことが大事。2連覇を達成したマスターフェンサーも2021年は平安S11着から優勝した。今年は1頭もいないようだが、今後のためのデータとしてインプットしてほしい。

 東京ダート2100mで行われるスレイプニルS、ブリリアントS出走組の好走も目につく。またアンタレスS出走組も要チェック。アンタレスSから直行、または一つレースをはさんでもアンタレスSもマーキュリーCとの連動性は高い。岩手勢ならシアンモア記念、一條記念みちのく大賞典の岩手王道を歩んできたトップホースに注目。

○過去10年は西高東低だが…

過去10年の所属先(左から2024年→2015年)
1着 西・東・西・西・西・西・西・西・東・大
2着 西・東・東・西・東・西・西・西・船・西
3着 西・西・岩・西・岩・西・東・西・西・西
(2014年~2005年)
1着 西・西・東・西・西・西・西・東・西・東

*西=栗東所属 東=美浦 大=大井 船=船橋 岩=岩手

 過去10年の所属別優勝は栗東(西)7勝、美浦(東)2勝、大井1勝。2022年まで6年連続で栗東所属馬が優勝し、2021年は1着から3着まで栗東所属馬が独占した。2023年は美浦所属馬が1、2フィニッシュしたが、昨年は再び栗東所属馬が1着から3着。それでも2005年から2014年は美浦所属馬3勝、栗東所属馬7勝。東西はあまり意識しなくてもいいかもしれない。

○大荒れか、順当か。マーキュリーカップは極端

1着 2着 3着 勝率 連対率 複勝率
1番人気 4回 1回 1回 40% 50% 60%
2番人気 4回 1回 1回 40% 50% 60%
3番人気 0回 3回 3回 0% 30% 60%
4番人気 1回 3回 0回 10% 40% 40%
5番人気 0回 0回 3回 0% 0% 30%
6人気以下 1回 2回 2回

 1番人気の優勝は4回。一昨年ウィルソンテソーロ、2020年マスターフェンサー、2019年グリム、2017年ミツバが1番人気で優勝。また2010年のカネヒキリ、2011年ゴルトブリッツ、シビルウォー(今回は過去10年なのでデータ外)と3年連続で1番人気が優勝し、一見すると人気サイドで決着しているのように映る。

 しかし2015年、2016年までは大荒れ。2015年はユーロビート(6番人気)→ソリタリーキング(3番人気)→トウショウクリーク(5番人気)で入線し、3連単11万2860円。翌年もストロングサウザー(2番人気)→タイムズアロー(9番人気)→マイネルバイカ(5番人気)で3連単が17万9810円と2年連続で超万馬券。さらに2022年、1着バーデンヴァイラー(2番人気)→2着テリオスベル(7番人気)→ヴァケーション(10番人気)と入り、3連単63万5880円のマーキュリーC史上最高配当が飛び出した。マーキュリーCは人気サイドで決着か、大荒れかの両極端なケースが考えられる。

○過去10年→過去5年の世代別上位馬に地殻変動あり

過去10年の世代別上位馬

1着 2着 3着
4歳 4回 2回 2回
5歳 4回 4回 3回
6歳 2回 2回 1回
7歳 0回 0回 3回
8歳 0回 2回 1回
9歳 0回 0回 0回

 過去10年は4~6歳馬が優勝。2、3着も同様だが、8歳馬が2着2回。3着は4歳から8歳までまんべんなく出ている。しかし、過去5年のデータになると様相がガラリと変わる。

過過去5年の世代別上位馬

1着 2着 3着
4歳 3回 2回 1回
5歳 2回 2回 2回
6歳 0回 1回 1回
7歳 0回 0回 1回
8歳 0回 0回 0回
9歳 0回 0回 0回

 過去5年の優勝馬は5歳以下。5歳優勝は昨年クラウンプライド、2021年、マスターフェンサーが2連覇目を果たしたもの。一昨年は1着ウィルソンテソーロ(4歳)、2着テリオスベル(6歳)、メイショウフンジン(5歳)。2022年は1着バーデンヴァイラー(4歳)、2着テリオスベル(5歳)、3着ヴァケーション(5歳)。近5年に限ると上位馬の若さが顕著となっている。果たして6歳、そして7歳以上の巻き返しがあるか。

○マーキュリーCトップハンデの結果は?

2024年 1着・クラウンプライド=57キロ
8着・スワーヴアラミス=58キロ
2023年 1着・ウィルソンテソーロ=55キロ
4着・バーデンヴァイラー=55キロ
5着・サンライズホープ=55キロ
2022年 1着・バーデンヴァイラー=54キロ
8着・ノーヴァレンダ=57キロ
2021年 1着・マスターフェンサー=58キロ
4着・デルマルーヴル=57キロ
2020年 1着・マスターフェンサー=54キロ
2着・デルマルーヴル=57キロ
2019年 1着・グリム=56キロ
ほかはすべて54キロ
2018年 1着・ミツバ=55キロ
5着・マイネルバサラ=57キロ
2017年 1着・ミツバ=54キロ
3着・クリノスターオー=56キロ
2016年 1着・ストロングサウザー=55キロ
7着・ソリタリーキング=58キロ
2015年 1着・ユーロビート=54キロ
2着・ソリタリーキング=58キロ
参考
2010年 1着・カネヒキリ=59キロ
2008年 1着・サカラート=58キロ

 マーキュリーCはグレード別定戦。3歳=50キロ(牝馬は2キロ減)、4歳以上=54キロ(牝馬は2キロ減)を基本に
GⅠ/JpnⅠ優勝馬 5キロ増
GⅡ/JpnⅡ優勝馬 3キロ増
GⅢ/JpnⅢ優勝馬 1キロ増
さらにG/Jpn競走・通算3勝以上は1キロ増。さらに2勝ごとに1キロ増。カネヒキリはグレード別定以前なので当時の最高負担重量59キロだった。

 過去10年、58キロの負担重量で優勝したのは2連覇を果たしたマスターフェンサー1頭のみ。トップハンデを背負った馬は思った以上に苦戦している。今年は負担重量差が結構大きいが、果たして結果は…。