注目レース情報

第52回南部駒賞(M1)

盛岡競馬場 ダ 1600メートル2025/11/11(火) 12R 18:10発走

レースについて

○歴史

 南部駒賞は1973年に創設された2歳馬による伝統重賞。3歳・不来方賞、古馬・一條記念みちのく大賞典が岩手競馬の世代別最高峰レース。南部駒賞は自他ともに認める2歳最強馬決定戦に位置付けられている。

 1999年まで岩手限定で行われ、2000年から新潟、上山、岩手の三県交流戦へ移行。2004年から地方競馬全国交流へ昇格した。

 実施日も2020年まで11月中旬に行われていたが、2021年は10月31日、2022年は10月18日。しかし一昨年は11月12日、昨年は11月17日、今年は11月11日と再び11月中旬の実施。またJBC2歳優駿は11月3日に行われ、この日程変更による影響は少なくない。なお昨年は6年ぶりに水沢1600mで実施されたが、今年は盛岡ダート1600mへ戻って行われる。

昨年優勝馬 バリウィール

コースの特徴

○ダート1600m

スタート地点はコース右手奥、2コーナーから伸びる引き込み線の最奥。向こう正面は約800mに及び、途中通過するコーナーはわずか2カ所。枠順による有利・不利は少なく、G1なら16頭立てにもなるがそれでも枠の内・中・外で勝率・連対率の差がほとんど無い。馬の実力がしっかり反映された戦いを期待できるダート1600mはOROパークが誇るチャンピオンコースだ。ただし意外に流れが落ち着きがちで本格的な差し・追込馬には展開が向かない場合も多い点には要注意。先行・好位の決着が多い南部杯のイメージ通りと言える。

盛岡競馬場コース図

データ分析

○実績がモノを言う

2024年 遠征・北海道5頭。北海道ミラクルヴォイスは出走取り消し
1着 バリウィール<3.2.0.1>←オープン①
2着 カセノタイガー<2.4.0.2>←JBC2歳優駿④
3着 ステラビアンカ<2.0.0.1>←オープン①
2023年 遠征・北海道5頭、船橋1頭
1着 フジユージーン<4.0.0,0>←ネクストスター盛岡①
2着 オスカーブレイン<2.0.1.3>←ネクストスター門別③
3着 デュアルロンド<2,1,0,3>←ネクストスター門別⑤
2022年 遠征・北海道1頭、船橋1頭、佐賀1頭
1着 エイシンケプラー<2.1.0.3>←門別OP②
2着 ナイトオブバンド<3.0.0.1>←若武者賞(川崎)⑤
3着 ネオシエル<2.1.0.2>←佐賀OP①
2021年 遠征・北海道4頭
1着 エイシンシュトルム<2.2.0.2>←イノセントC④
2着 クロールキック<1.3.1.1>←OPウイナーズ⑤
3着 モリデンブラック<2.0.1.3>←ジュニアGP①
2020年 遠征・北海道4頭、船橋1頭、川崎1頭
1着 ギガキング<1.2.0.2>←JBC2歳優駿⑥
2着 シンタロウ<1.1.1.4>←門別OP1700m②
3着 リュウノシンゲン<5.0.1.0>←若駒賞①
2019年 遠征・北海道6頭
1着 モリノブレイク<3.3.0.2>←平和賞⑤
2着 スティールペガサス<2.2.0.3>←北海道2歳優駿⑩
3着 ホンコンノワール<1.0.1.4>←若駒賞③
*2018年は休止
2017年 北海道5頭
1着 ダモンデ<2.2.1.2>←鎌倉記念⑫
2着 マッドドッグ<2.1.0.1>←鎌倉記念②
3着 ヒガシウィザード<1.2.0.1>←知床賞②
2016年 北海道4頭
1着 ベンテンコゾウ<2.1.0.0>←若駒賞②
2着 ヘイジュード<3.2.1.2>←門別ウィナーズ③
3着 メモリーダンス<2.2.2.0>←知床賞②
2015年 北海道3頭
1着 メジャーリーガー<4.1.0.1>←若駒賞①
2着 アンビリーバボー<1.2.0.1>←門別2歳②
3着 タッチワールド<2.1.1.5>←知床賞⑤
2014年 北海道2頭、大井1頭
1着 ロールボヌール<3.0.0.0>←若駒賞①
2着 スペクトル<2.2.0.1>←芝1600m①
3着 フジノサムライ<2.1.3.2>←門別ウィナーズ⑥

 冒頭にも記したとおり、2022年の南部駒賞は例年より早く10月18日に実施。その影響だと思うが、遠征馬は重賞実績がなかった。とは言っても上位3着馬に共通したのはJRA認定競走を勝っていたこと。やはり実績がモノを言った。また上位好走馬は前走、重賞を使っていた馬が多い。昨年のカセノタイガーはJBC2歳優駿4着から南部駒賞2着。2021年は2勝馬エイシンシュトルムが優勝し、前走はイノセントC4着の実績。また3着に敗れはしたが、モリデンブラックは芝交流・ジュニアGP1着から駒を進めた。一方、岩手代表の優勝はすべて若駒賞1着馬だったが、一昨年、1着賞金1000万円・ネクストスターが創設され、ネクストスター盛岡1着フジユージーンが完勝した。

○北海道6勝、岩手4勝。昨年は岩手所属馬が1~3着を北海道勢が独占

2024年→2014年
(北=北海道 岩=岩手、船=船橋、佐=佐賀)
1着 北 岩 北 北 北 北 北 岩 岩 岩
2着 北 北 船 北 北 北 北 北 北 岩
3着 北 北 佐 北 岩 岩 北 岩 北 北

 過去10年の地区別成績は北海道6勝、岩手4勝。一昨年はフジユージーンが6年ぶりに岩手優勝を果たしたが、昨年は1着から3着まで北海道勢が独占した。2022年は北海道から遠征は日程的な関係もあって1頭のみだったが、エイシンケプラーが優勝した。また2021年は1着から4着まで北海道勢が上位を独占。2020年、2019年はワンツー・フィニッシュを決め、2018年も1着から3着までを独占。北海道勢が優位に立っていた。

 岩手優勝のカギは世代レベル。昨年のフジユージーンは岩手二冠を制し、地方交流・楠賞を優勝。ベンテンコゾウは北海道二冠を制し、シアンモア記念優勝。ロールボヌールはダイヤモンドカップ(岩手ダービー)も圧勝し、幻の三冠馬とも言われた大物。データ外だが、2009年のロックハンドスターはダービーGPも含めて岩手三冠を制覇した。結論。南部駒賞を優勝した地元馬は出世する。

○1番人気4勝、2番人気3勝、3番人気2勝

1着 2着 3着 勝率 連対率 複勝率
1番人気 4回 2回 1回 40% 60% 70%
2番人気 3回 1回 1回 30% 40% 50%
3番人気 2回 1回 2回 20% 30% 50%
4番人気 0回 2回 1回 0% 20% 30%
5番人気 0回 2回 3回 0% 20% 50%
6人気以下 1回 1回 2回

 1番人気1着は過去10回中4回。ひとまず人気に応えていると思ってしまうが、実は2018年以降、1番人気の優勝はなかった。1番人気の優勝は2016年(2017年は休止)のベンテンコゾウまでさかのぼらなければならなかったが、一昨年フジユージーンが1番人気に応えて完勝した。参考までに1番人気1着は前記フジユージーン、ベンテンコゾウ、メジャーリーガー、ロールボヌールの4頭で、すべて岩手所属馬。逆に北海道所属馬の1番人気での優勝は1頭もなし。昨年のバリウィールは2番人気1着。1番人気カセノタイガーは2着。過去10年の優勝馬6頭は2番人気以下だった。調べてみて正直、驚いた。強力なデータになるかもしれない。

有力馬紹介

アラモ

牡2歳 父サンダースノー

田中淳司きゅう舎・門別

 デビュー戦は幼さも残って2着に終わったが、2戦目から3連勝。着差的には派手さがないが、きっちり最先着でゴール。相手なりにどんな競馬ができるのが強味。前走も好位キープから抜け出しを決めて完勝。血統面だけではなく、脚質からも1600m延長も問題なし。今回は満を持して初の重賞へ名乗り。4連勝を飾り、南部駒のタイトルに王手をかけた。

レヴェルトディオ

牡2歳 父ダノンレジェンド

田中淳司きゅう舎・門別

 デビュー戦はアタマ差2着。勝ったエイシンイワハシルはその後、園田へ移籍して兵庫ジュベナイルカップ、ネクストスター園田と重賞2連勝中。2戦目はハナ差2着に惜敗し、3戦目で待望の初勝利を飾った。続く一戦は3コーナーで不利を受けて8着。前走はスタート後につまづいても2着で能力の片りんを披露。秘めた素質を一気に開花させる。

ドライブミーホーム

牡2歳 父フォーウィールドライブ

森山雄大きゅう舎・門別

 デビュー戦はダッシュつかなかったが、メンバー最速の上がりを駆使して半馬身差2着。2戦目もスタートひと息だったが、決め手を生かして快勝。続く3戦目3着から2連勝をマークしたが、前々走は出遅れがこたえて5着。前走・ネクストスター門別は相手が強く7着だったが、1分14秒5は上々のタイム。輸送クリアーできればアッサリまで。

ティーズアライト

牡2歳 父スマートファルコン

小野望きゅう舎・門別

 デビュー戦から1700mのみを使われて初戦2着から2戦目を快勝。以降は伸び悩んでいたが、前々走1000m戦6着から前回1600m戦を快勝。短距離がいい刺激になった。管理するのは先日のプリンセスカップをトリップスで制した小野望調教師。牡馬交流でも勝利を飾る。

ジェイエルビット

牡2歳 父アドミラブル

佐々木由則きゅう舎・水沢

 デビュー戦の水沢850mを10馬身差で圧勝し、2戦目を快勝。続く一戦2着から重賞・若駒賞3着。前々走は超ハイペースがたたって4着に終わったが、前回首位を奪回。4戦ぶりに勝利を飾り、上昇ムードにのった。今回は距離経験を生かして上位進出。

ディオニス

牡2歳 父リオンディーズ

佐々木由則きゅう舎・水沢

 デビュー戦を10馬身差で逃げ切って圧勝。その後は3ヵ月の休養に入り、復帰戦も完勝。重賞・ネクストスター盛岡へ挑戦してラウダーティオの2着。キャリア差も出た印象だった。実戦を使われながら着実に地力アップ。門別勢は強力だが、成長力で突破できるか注目。

トーアサジタリウス

牡2歳 父ドリームバレンチノ

佐々木国明きゅう舎・門別

 門別1100m・新馬戦を1秒3差で逃げ切り、2戦3着からJRA札幌・クローバー賞へ挑戦。2着に善戦し、GⅢ・札幌2歳S11着。帰郷後は2戦凡走したが、徐々に疲れも取れたとのこと。軽い走路になれば好勝負に持ち込める。