注目レース情報

第48回金杯(M2)

水沢競馬場 ダ 1600メートル2023/12/30(土) 10R 15:35発走

レースについて

○歴史

 金杯の創設は1975年。1999年までアラブ2歳(当時は3歳、または明け4歳)重賞で実施され、サラブレッドの南部駒賞と並ぶ岩手競馬の2歳看板重賞だった。

 2000年(1999年度)はサラブレッド2歳(明け3歳)重賞で実施(一度のみ)され、2001年から3歳(明け4歳)重賞へ移行。2005年から再び2歳(明け3歳)重賞で固定された。2013年~2015年を除き、正月1月2日に実施され、正月2日=金杯が定番となったが、昨年は1月3日に実施。さらに今年の金杯は桐花賞の前日12月30日に移行。金杯の年内実施は1993年12月26日、第20回金杯(当時は3歳:現表記2歳)以来、30年ぶりとなった。

昨年優勝馬 ミニアチュール

コースの特徴

ダート1600m

4コーナーのポケットからスタートして緩い右カーブを切りながらコーナーに入る形態から「内枠有利」と言われてきた距離。過去5年の勝率では確かに1番が12.4%で最上位なのだが、しかし連対率等も含めて見れば極端に優勢とまでは言えない。実際フルゲートの際の8枠にあたる11番や12番からの勝馬も決して少なくはないし、内枠と外の7枠・8枠での決着、あるいは外枠同士での決着も珍しくはない。多頭数の場合でも外枠を軽視しすぎるのは避けるべきだろう。

水沢競馬場コース図

データ分析

若駒賞→南部駒賞→トライアル・寒菊賞が王道

2023年
1着 ミニアチュール 2歳B1①←門別OP②
2着 セイレジーナ 寒菊賞①←太夫黒特別②
3着 ケープライト 太夫黒特別①←ジュニアGP⑩
2021年(2022年は休止)
1着 リュウノシンゲン 寒菊賞①←南部駒賞③
2着 グランフォロミー 寒菊賞②←知床賞⑤
3着 マツリダジョオー 寒菊賞⑤←フューチャー①
2020年
1着 シンボ 寒菊賞②←南部駒賞⑦
2着 ナーリー 寒菊賞③←南部駒賞⑩
3着 ウォールフラワー 2歳A③←寒菊賞⑧
2018年(2019年は休止)
1着 チャイヤプーン 寒菊賞①←知床賞③
2着 スターギア 2歳A①←寒菊賞②
3着 リュウノムーン 寒菊賞⑤←OP②
2017年
1着 オールザベスト 寒菊賞②←OP①
2着 サンエイリシャール 寒菊賞③←南部駒賞⑤
3着 ニードアフレンド 2歳A①←2歳B1⑦
2016年
1着 サンエイホープ 寒菊賞③←OP①
2着 サプライズハッピー 寒菊賞④←プリンセスC①
3着 イチダイ 寒菊賞①←OP②
2015年
1着 スペクトル 寒菊賞①←OP①
2着 トーホクライデン 2歳A③←寒菊賞③
3着 トーホクフェアリー 2歳A②←寒菊賞②
2014年
1着 ラブバレット 寒菊賞①←南部駒賞②
2着 ライズライン 南部駒賞①←若駒賞①
3着 アオチャン 2歳A⑤←寒菊賞②
2013年
1着 ブリリアントロビン プリンセスC①←2歳B1①
2着 ロックハンドパワー 寒菊賞①←南部駒賞⑤
3着 ラブソング 2歳B1③←サッポロクラシック⑧
2012年
1着 ファイトホーマー 寒菊賞⑥←2歳⑤
2着 トーホクアロー 2歳A③←寒菊賞④
3着 エスプレッソ 寒菊賞①←2歳①
寒菊賞1着 金杯
2023年 セイレジーナ 2着
2021年 リュウノシンゲン 1着
2020年 グランコージー 不出
2018年 チャイヤプーン 1着
2017年 ベンテンコゾウ 不出
2016年 イチダイ 3着
2015年 スペクトル 1着
2014年 ラブバレット 1着
2013年 ロックハンドパワー 2着
2012年 エスプレッソ 3着

 岩手2歳のダート重賞はビギナーズカップ、今年新設されたネクストスター盛岡、南部駒賞、牝馬交流・プリンセスカップ、寒菊賞、そして金杯の6レース。

 過去10回のローテーションを見ると一目瞭然だが、寒菊賞のレース名がずらりと並んでいる。昨年は北海道2勝から転入ミニアチュールが優勝したが、寒菊賞出走組から7頭が優勝。また寒菊賞1着馬も4勝2着2回3着2回と8頭すべて馬券対象を果たし、信頼度は非常に高い。理由は同じ水沢1600mが舞台に加え、ローテーション的にもベストだから。トライアル・寒菊賞と金杯の連動性は非常に高い。

1番人気6勝、2番人気3勝

1着 2着 3着 勝率 連対率 複勝率
1番人気 6回 2回 1回 60% 80% 90%
2番人気 3回 4回 2回 30% 70% 90%
3番人気 0回 3回 1回 0% 30% 40%
4番人気 0回 0回 2回 0% 0% 20%
5番人気 0回 1回 2回 0% 10% 30%
6人気以下 1回 0回 2回  

 1番人気は6勝2着2回3着1回。馬券対象から外れたのは、わずか1度のみ。続く2番人気は3勝2着4回3着2回。馬券対象から外れたのは1番人気と同じく1度のみ。そして5年連続で1番人気馬が優勝し、1番人気、2番人気の信頼度は高い。

 6番人気以下で優勝したのは2012年、ファイトフォーマー=9番人気。2着にトーホクアロー=5番人気、3着にエスプレッソ=2番人気と入り、単勝2万4740円、馬連複3万5360円、馬単12万7500円、3連複4万5000円、3連単46万8850円の高配当が飛び出したが、唯一の例外。本命サイドでほぼ決まると見ていい。

牡馬8勝、牝馬2勝だが…昨年は牝馬が上位3着を独占

1着 2着 3着
牡馬 8回 7回 3回
牝馬 2回 3回 7回

 金杯のデータどおり岩手の2歳戦線は牡馬が圧倒的に優位。1、2着は牡馬がほぼ独占していたが、昨年の金杯は1着ミニアチュール、2着セイレジーナ、3着ケープライトと牝馬が上位3着を独占した。ミニチュールは今年も大活躍。ダイヤモンドカップ、東北優駿(岩手ダービー)、ひまわり賞(オークス)、OROオータムティアラと牡牝馬4冠を獲得した。また他の牝馬優勝は2013年のブリリアントロビン。グランダムジャパン・プリンセスカップ優勝はダテではなかった。

 昨年の結果を受けると今後のデータは変動しそうな予感を抱かせるが、過去10年で牝馬の3着7回。昨年は2番人気ケープライトが3着だったが、それ以前は人気薄が目立っている。一昨年のマツリダジョオー(4番人気)からさかのぼり、ウォールフラワー(8番人気)、ニードアフレンド(6番人気)、トーホクフェアリー(3番人気)、アオチャン(4番人気)、ラブソング(5番人気)とほぼ人気薄が3着に突っ込んでいる。馬券妙味は3着候補に人気薄の牝馬を加えるのが得策か。

岩手デビュー馬5勝、北海道デビュー馬5勝だが…

1着 2着 3着
岩手デビュー 5回 7回 5回
北海道デビュー 5回 3回 4回
JRAデビュー 0回 0回 1回

 昨年は北海道デビューのミニアチュールが優勝。これで岩手デビュー馬5勝、北海道デビュー馬5勝とまったく五分になった。2着は岩手がリード、3着も岩手が若干リードだが、これを過去5年に限ると北海道デビュー馬4勝2着3回3着2回、岩手デビュー馬1勝2着2回3着3回と北海道デビュー馬が圧倒的に優位。岩手デビュー馬の優勝は2021年のリュウノシンゲン1頭のみ。データ的には北海道デビュー馬に軍配が上がる。

有力馬紹介

セイバイラック

牝2歳 父アメリカンペイトリオット

板垣吉則きゅう舎・水沢

 デビュー4戦まで芝1本を使われて若鮎賞2着、交流・ジュニアグランプリ4着。未勝利だったが、毎回上位争いを演じた。転機は芝1600mの予定だったが、走路悪化のためにダート変更となった1600m戦だった。2番手キープから4角先頭に立ち、直線は後続を突き放す一方。2着に8馬身差をつけて圧勝し、初ダートで初勝利を飾り、続く牝馬交流・プリンセスカップ4着。岩手最先着を果たした。前々走・太夫黒特別3着に終わったが、12頭立ての最内1番枠。1周目スタンド前で周囲が壁になって折り合いを欠いたのが痛かった。しかし寒菊賞ではうまく流れに乗ってレッドオパールの2着に反撃。今回のメンバーでは最先着を果たした。今回、前々走と同じ1番枠に入ったが、二のテツを踏まず。今度こそ重賞タイトルを獲得する。

マルーントリック

牝2歳 父カリフォルニアクローム

佐藤祐司きゅう舎・水沢

 北海道2勝2着2回から転入。兄は岩手競馬で一時代を築いたエンパイアペガサス。父はエンパイアメーカーからカリフォルニアクロームに替わり、420キロ前後の牝馬だが、レースセンスは兄譲り。転入後も2、3着にまとめた。ネックは勝ち切れていないことだが、寒菊賞でセイバイラックとの差は0秒2。逆転の可能性は十分ある。

リトルカリッジ

牝2歳 父アジアエクスプレス

菅原右吉きゅう舎・水沢

 デビュー2連勝から芝・若鮎賞へ挑戦。1番人気に支持されたが、8着に失速。明らかに芝が合わなかったが、ダートに戻ってビギナーズカップでフジユージーンの2着。その後は3ヵ月の休養を余儀なくされ、復帰戦・プリンセスカップ12着に大敗したが、ひと叩きされて反応が一変。後方に控えて直線抜け出しを決めて首位を奪回した。差しに転じて新境地を拓いた。

ドリームキャッチ

牝2歳 父ブラックタイド

佐藤祐司きゅう舎・水沢

 デビュー3戦目の門別1200m戦を勝ち上がり、牝馬重賞・フローラカップへ挑戦9着。転入戦は3番人気だったが、中団キープから豪快に抜け出して快勝した。その後は寒菊賞をスキップして金杯に合わせて調整。牝馬ながら馬格にも恵まれて2連勝を重賞制覇で飾る。

サクラトップキッド

牡2歳 父ビーチパトロール

伊藤和忍きゅう舎・水沢

 デビュー戦で出遅れながらも0秒6差で完勝し、2戦目は1秒9差で圧勝。南部駒賞へ果敢に挑戦し、全国の強豪相手に5着に善戦した。寒菊賞は当然のように1番人気に支持されたが、前半は置かれっぱなし。追走にも手こずったが、上がり37秒8の脚を使って4着。小回り水沢がネックだが、地力は引けを取らない。

ミヤギシリウス

牝2歳 父アニマルキングダム

畠山信一きゅう舎・水沢

 デビュー戦の芝1000mは出遅れて4着だったが、ダートに替わって2戦目を圧勝。以降、ネクストスター盛岡4着、若駒賞でも2着を確保した。前走は3着に終わったが、0秒1差。久々を叩いて巻き返しに転じる。