注目レース情報

第24回留守杯日高賞(M1)

水沢競馬場 ダ 1600メートル2024/4/21(日)

レースについて

○歴史

 かつて日高賞のレース名で行われていたのが、1969年に創設されたアラブ系4歳(現表記・3歳)最高峰の一戦。サラブレッド系3歳重賞・不来方賞と並び、岩手競馬では最古。日高賞はアラブ系、不来方賞はサラブレッド系ダービーとして長きにわたって盛り上げてきた。

 しかし日高賞はアラブ系の減少に伴い、1999年に廃止。1年置いて新たにサラブレッド系3歳牝馬重賞としてスタート。2004年から留守杯日高賞へ名称変更され、交流レースへ格上げ。さらに2005年から地方競馬全国交流へ昇格し、2010年から“GRANDAME-JAPAN”3歳シーズンに組み込まれた。

 また4年前から牝馬三冠体系が確立され、留守杯日高賞は岩手競馬牝馬クラシック第一弾となり、一昨年から1着賞金が400万円から500万円へ増額された。  昨年、開催時期が変わった。2022年、2021年は5月中旬に実施されたが、昨年は4月16日の実施。しかし今年は2020年以前と同じく4月下旬に行われる。それに伴い、トライアル・あやめ賞も3月24日が実施日。直行組はちょうど1ヵ月ほど開けたローテーションで臨める。

昨年優勝馬 ワイズゴールド

コースの特徴

○ダート1600m

コーナーのポケットからのスタート。緩く右にカーブしながら4コーナーに入る形態から「内枠有利・外枠不利」と言われてきたが近年は外枠の健闘も目立つ。フルゲートの際の8枠にあたる11番や12番からの勝馬も決して少なくないし、内枠と外の7枠・8枠での決着、あるいは外枠同士での決着も珍しくはない。もちろん、3着以内までに入る成績でみれば内枠ほど良い傾向に変わりはなく、特に内枠の逃げ・先行馬は軽視できない。しかし例え多頭数でも外枠を敬遠しすぎる必要はない・・・というのが近年の傾向と言える。

水沢競馬場コース図

データ分析

○遠征馬8勝、岩手2勝

2023年 12頭立て 遠征馬5頭
1着 ワイズゴールド(大井)
2着 キャッツライズ(川崎)
3着 フークエンジェル(船橋)
2022年 12頭立て 遠征馬6頭
1着 グラーツィア(船橋)
2着 ビッグタマテルーフ(岩手)
3着 ボサノヴァ(岩手)
2021年 12頭立て 遠征馬3頭
1着 スマイルミュ(北海道)
2着 セカイノホシ(北海道)
3着 グロリオーソ(大井)
2020年 12頭立て 遠征馬5頭
1着 ボンボンショコラ(浦和)
2着 レッドカード(北海道)
3着 キクノナナ(園田)
2019年 8頭立て 遠征馬2頭
1着 グローリアスライブ(川崎)
2着 ボルドープラージュ(岩手)
3着 ボルドーシエル(浦和)
2018年 8頭立て 遠征馬3頭
1着 エグジビッツ(北海道)
2着 スターギア(岩手)
3着 プリムラジュリアン(北海道)
2017年 11頭立て 遠征馬6頭(1頭取り消し)
1着 ダンストンレガーメ(岩手)
2着 グラマシー(名古屋)
3着 メドゥシアナ(岩手)
2016年 9頭立て 遠征馬1頭
1着 サプライズハッピー(岩手)
2着 チャイヨー(岩手)
3着 スクリーンハッピー(岩手)
2015年 11頭立て 遠征馬6頭
1着 ホレミンサイヤ(名古屋)
2着 ミトノレオ(名古屋)
3着 ロードウェーブ(笠松)
2014年 12頭立て 遠征馬6頭
1着 コパノバウンシ(大井)
2着 ターントゥタイド(岩手)
3着 ワンダフルタイム(船橋)

 留守杯日高賞は地方競馬全国交流にふさわしく、過去10年の地区別優勝馬は大井2勝、岩手2勝、北海道2勝。ほかは浦和1勝、船橋1勝、川崎1勝、名古屋1勝。各地区がまんべんなく優勝している。ただ大きな括りでは南関東5勝と抜けた優勝数。過去10回で勝率50%の南関東所属馬から目が離せない。ただ、北海道所属馬は2年連続で不出場。今年も参戦がなかったが、4月18日に新設校流「ネクストスター北日本」が行われたため。これが留守杯日高賞へ少なからず影響するに違いない。

 岩手勢は2勝と一見すると健闘しているよう映る。特に2016年は1着から3着まで上位を独占したが、遠征馬が1頭(名古屋ベッロポモドーロ/6着)のみ。以上のことから遠征馬有利の傾向は明らか。しかし岩手勢は2着5回、3着2回と馬券対象では健闘していることを頭に入れておきたい。

○1番人気6勝、2番人気3勝。しかし人気薄の好走も少なくない

1着 2着 3着 勝率 連対率 複勝率
1番人気 6回 1回 1回 60% 70% 80%
2番人気 3回 2回 2回 30% 50% 70%
3番人気 0回 3回 1回 0% 30% 40%
4番人気 1回 2回 1回 10% 30% 40%
5番人気 0回 1回 1回 0% 10% 20%
6人気以下 0回 1回 4回  

 1番人気の優勝は昨年ワイズゴールド、2022年グラーツィア、2021年ボンボンショコラ、2019年グローリアスライブ、2018年エグジビッツ、2014年コパノバウンシの6頭。地力を見せつけた恰好だった。2番人気の優勝は一一昨年のスマイルミュ、2017年ダンストンレガーメ、2016年のサプライズハッピー。1番人気に接近している。4番人気の優勝は2015年、名古屋のホレミンサイヤ。さらに“GRANDAME-JAPAN”へ昇格して以降、過去12回とも4番人気以内の馬が優勝している。ただし6番人気以下は優勝こそないが、2着1回、3着4回。高配当を演出している点は頭に入れておきたいところ。

○勝利戦法は逃げか、先行か

1着 2着 3着
逃切 4回 1回 2回
先行 5回 8回 2回
差し 1回 1回 5回
追込 0回 0回 1回

 水沢1600mを舞台に行われる留守杯日高賞は逃げ切り4回、先行5回。先行有利と言われるダート競馬では当然のことだが、この時期の3歳牝馬も逃げ、先行が圧倒的優位に立っている。やはり先行策を取れるのが好走要因と見ていい。

 ただ1回だけ差しが決まったのは2016年のサプライズハッピーだが、先にも記したとおり遠征馬は1頭のみ。ほぼ地元同士の戦いとなったため、サプライズハッピーは普段どおりの競馬ができた。結論は決め手より絶対スピード優先。

○優勝条件は基本2勝以上

2022年 ワイズゴールド 1勝
2022年 グラーツィア 4勝
2021年 スマイルミュ 3勝
2020年 ボンボンショコラ 1勝
2019年 グローリアスライブ 2勝
2018年 エグジビッツ 3勝
2017年 ダンストンレガーメ 4勝
2016年 サプライズハッピー 3勝
2015年 ホレミンサイヤ 5勝
2014年 コパノバウンシ 2勝

 水沢1600mを舞台に行われる留守杯日高賞は逃げ切り4回、先行5回。先行有利と言われるダート競馬では当然のことだが、この時期の3歳牝馬も逃げ、先行が圧倒的優位に立っている。やはり先行策を取れるのが好走要因と見ていい。

 ただ1回だけ差しが決まったのは2016年のサプライズハッピーだが、先にも記したとおり遠征馬は1頭のみ。ほぼ地元同士の戦いとなったため、サプライズハッピーは普段どおりの競馬ができた。結論は決め手より絶対スピード優先。

有力馬紹介

ファーマティアーズ

牝3歳 父ルーラーシップ

須田和伸きゅう舎・大井

 デビュー2戦目・大井1400mを5馬身差で圧勝。続く2戦は4,5着にとどまり、佐賀・フォーアルハウトへ遠征。後方待機策から鮮やかなまくりを決めて完勝した。その後は2ヵ月半の休養を取って南関東牝馬クラシック路線へ名乗り。桜花賞トライアル・ユングフラウ賞7着、浦和・桜花賞6着。入着はできなかったが、強豪メンバーと戦ったのが何よりも収穫。4月25日、東京プリンセス賞の選択肢もあったと思うが、今回は確勝を期しての参戦。昨年優勝ワイズゴールドに続いて大井所属馬が2連覇を決める。

エレノーラ

牝3歳 父タリズマティック

平田正一きゅう舎・川崎

 デビューが今年3月15日までずれ込んだが、2着に1秒9差をつけて圧勝。3歳最下級戦だったとはいえ、能力の違いを見せつけた。続いて4月3日、3歳牝馬戦にエントリー。デビュー戦を同じく逃げ切りを決め、2着に1秒3差。あっさりデビュー2連勝を飾った。特筆すべきは同日、川崎1400m戦は計6レース行われたが、1分32秒0は抜けた勝ちタイム。デビュー2戦のみ。初の右回り、初の1600m戦。さらに長距離輸送など不安要素は多いが、素質ですべてカバーできるか。

ミヤギシリウス

牝3歳 父アニマルキングダム

畠山信一きゅう舎・水沢

 デビュー戦の盛岡芝1000mは4着に終わったが、2戦目の水沢1300mを1秒4差で圧勝。重賞路線に乗り、ネクストスター盛岡はフジユージーンの4着、若駒賞はミヤギヴァリアントの2着を確保した。昨最終戦・金杯5着。外から早めにまくる戦法に出たが、直線で伸びを欠いた。冬場は福島・テンコートレセンへ移動。坂路で鍛え直して帰郷。あやめ賞から始動して見事優勝。4番手追走から徐々に進出したが、直線入り口で前をカットされる不利。しかし再び加速して内カリフィア、外レッドオパールの間を割って快勝。初重賞を手にした。先頭に立つとトボける癖があるが、逆に馬群を割ったのが功を奏したか。それとも冬を越してひと皮むけたか、今回で答えが出る。

レッドオパール

牝3歳 父ニシケンモノノフ

菅原勲きゅう舎・水沢

 母はエンパイアメーカー産駒で中央未勝利から岩手7勝をマークして繁殖入り。レッドオパールが初仔となった。門別4戦1勝から昨年11月に転入。あっさり2連勝を飾り、重賞・寒菊賞を完勝。冬休み明け戦の準重賞・奥州弥生賞も制し、牝馬路線の主役に躍り出た。当然のように牝馬重賞・あやめ賞で圧倒的1番人気に支持されたが、伸びひと息で3着。相手が強かったか、牝馬一線級の壁だったか。真価が問われる一戦を迎えた。

リトルカリッジ

牝3歳 父アジアエクスプレス

菅原右吉きゅう舎・水沢

 デビュー2戦で逃げ切りを決めて好発進。3戦目・若鮎賞は初芝にとまどってしんがり8着に敗れたが、ダートに戻ってビギナーズカップで2着に反撃。フジユージーンとの差を0秒4にまとめた。以降は順調さを欠いてプリンセスカップも12着に沈んだが、太夫黒特別、重賞・金杯と連勝。完全復活を果たした上、差し競馬も身につけたのが大きかった。今季は乗り込みが遅れ、スプリングカップから始動して4着。結果的に連闘策となったが、ひと叩きされて変わり身必至。

カリフィア

牝3歳 父カリフォルニアクローム

櫻田康二きゅう舎・盛岡

 トレーニングセールで高額落札され、デビュー戦の芝1000mを完勝。幸先のいいスタートを切り、2戦目2着からネクストスター盛岡3着。以降は逃げ一杯のレースが続いたが、昨最終戦となった阿久利黒賞を逃げ切り勝ち。好ムードにシーズンを終えた。今季初戦のあやめ賞でも逃げ粘って2着。今回は同型との出方がカギを握るが、素質は引けを取らない。