クラスターカップ
写真/昨年の優勝馬ヤマニンアンプリメ
レースの傾向
COURSE GUIDE
基本的に逃げ・先行馬に有利な条件。理想的なのはやはり先行集団につけることができるスピードがあり、なおかつ最後の直線での伸び脚もある“ 先行差し” タイプだ。典型的なイメージはクラスターカップの展開で、ハイペースでも好位を追走しつつ上がり3ハロン34秒台~35秒台前半の切れを発揮できるような馬が主力になる。上位クラスほどスピード+αが要求される舞台だと言える。
盛岡1200mコースガイド
COURSE GUIDE
基本的に逃げ・先行馬に有利な条件。理想的なのはやはり先行集団につけることができるスピードがあり、なおかつ最後の直線での伸び脚もある“ 先行差し” タイプだ。典型的なイメージはクラスターカップの展開で、ハイペースでも好位を追走しつつ上がり3ハロン34秒台~35秒台前半の切れを発揮できるような馬が主力になる。上位クラスほどスピード+αが要求される舞台だと言える。
コース図
データ分析
■王道は北海道スプリントカップだが、プロキオンSにも注目
2019年 | 1着 ヤマニンアンプリメ←北海道SC①←かきつばた記念② 2着 ヒロシゲゴールド←天王山S⑨←東京スプリント③ 3着 コパノキッキング←東京スプリント②←フェブラリーS⑤ |
2018年 | 1着 オウケンビリーヴ←スパーキングLC②←天王山S⑦ 2着 ネロ←さきたま杯⑧←東京スプリント③ 3着 ラブバレット←栗駒賞①←北海道SC② |
2017年 | 1着 ブルドッグボス←習志野きらっとS③←天王山S⑤ 2着 ラブバレット←岩鷲賞①←栗駒賞① 3着 サイタスリーレット←栗東S①←陽春S① |
2016年 | 1着 ダノンレジェンド←北海道SC①←東京スプリント③ 2着 ブルドッグボス←かきつばた記念②←東京スプリント④ 3着 ラブバレット←岩鷲賞①←栗駒賞① |
2015年 | 1着 ダノンレジェンド←北海道SC③←東京スプリント① 2着 ポアゾンブラック←門別スプリント①←北海道SC② 3着 ラブバレット←岩鷲賞②←さきたま杯④ |
2014年 | 1着 サマリーズ←プロキオンS⑬←三宮S① 2着 スイートジュエリー←CBC賞⑬←韋駄天S⑪ 3着 シルクフォーチュン←プロキオンS⑧←高松宮記念⑩ |
2013年 | 1着 ラブミーチャン←習志野きらっとS①←名古屋でら馬S① 2着 タイセイレジェンド←ドバイゴールデンシャヒーン⑫←フェブラリーS⑭ 3着 ノーザンリバー←バーデンバーデンC⑥←深草S① |
2012年 | 1着 タイセイレジェンド←北海道SC②←欅S⑦ 2着 セレスハント←プロキオンS⑨←北海道SC① 3着 アイルラヴァゲイン←アイビスサマーD⑧←バーデンバーデンC⑤ |
2011年 | 1着 ドスライス←NST賞①←プロキオンS⑮ 2着 グランドラッチ←NST賞⑦←アハルテケS⑩ 3着 ラブミーチャン←習志野きらっとS←①名古屋でら馬S① |
2010年 | 1着 サマーウインド←プロキオンS②←天王山S① 2着 ミリオンディスク←北海道SC①←かきつばた記念③ 3着 メイショウバトラー←スパーキングLC③←マリーンC① |
過去10年で北海道スプリントカップ出走→クラスターC優勝が4頭。それ以前も一貫した王道だった。さらにクラスターC→東京盃→JBCスプリントがダート短距離の既定路線。また2007年から距離が1200mで行われるようになった東京スプリント(4月に実施)も加わる。
今回のデータには直接関係ないが、クラスターC→JBCの連動性が高い点にも注目してほしい。
2010年サマーウインド、2012年タイセイレジェンド、2015年、2016年ダノンレジェンド、2017年ブルドッグボスがJBCスプリントを優勝。また昨年の覇者ヤマニンアンプリメはJBCレディスクラシックを制した。過去10年のデータから外れるが、2009年のバンブーエールもJBCスプリントを優勝した。
以上のことからもクラスターCがダート短距離路線で重要なポジションを担っているのは明らか。
また毎年7月、中京ダート1400m(今年は阪神ダート1400mで実施)で行われるプロキオンステークス組も見逃せない。
距離は違うが、盛岡と同じ左回りで実施され、ローテーション的にも組みやすいから。プロキオンSを勝てなかった場合、クラスターC1着で以降の出走権を確実にしたい―が陣営の思惑。必勝態勢で臨むケースが多い。
■西高東低、地方も健闘
過去10年の所属先(左から2019年→2010年)
1着 | 西・西・浦・西・西・西・笠・西・西・西 |
2着 | 西・西・岩・西・北・西・西・西・西・西 |
3着 | 西・岩・西・岩・岩・西・西・東・笠・西 |
過去11年(2009年)~24年(1996年・第1回)
1着 | 西・船・西・西・東・西・東・東・西・名・東・西・西・西 |
*西=栗東、東=美浦、岩=岩手、北=北海道、浦=浦和、笠=笠松、船=船橋、名=名古屋
際立って目立つのが西=JRA栗東所属馬の活躍ぶり。過去10年で8度優勝し、全24回でも15回優勝と圧倒的優位に立っている。
一方、東=JRA美浦所属は過去10年に限ると、馬券対象を果たしたのは2012年のアイルラヴァゲイン(3着)1頭のみ。第1回から第10回までなら4頭の優勝馬がいたが、2005年のエンゲルグレーセ以降、美浦所属馬は優勝から遠ざかっている。やはりマーキュリーCと同様、西高東低のデータがはっきり出た。
また地方所属馬も第22回(2017年)、浦和・ブルドッグボスが優勝して2着に岩手・ラブバレットとワンツーフィニッシュを決め、第18回(2013年)は笠松・ラブミーチャンが優勝。ほかにも2、3着を確保し、地方馬が健闘している。
■優勝馬は4番人気以内
1着 | 2着 | 3着 | 4着 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | |
1番人気 | 5回 | 1回 | 2回 | 2回 | 50% | 60% | 80% |
2番人気 | 2回 | 3回 | 2回 | 2回 | 20% | 50% | 70% |
3番人気 | 1回 | 3回 | 1回 | 3回 | 10% | 40% | 50% |
4番人気 | 2回 | 2回 | 1回 | 20% | 40% | 50% | |
5人気以下 | 0回 | 1回 | 2回 |
優勝馬は必ず4番人気以内。その4番人気で優勝したのは2014年のJRAサマリーズ、2017年、浦和代表で優勝したブルドッグボスの2頭。後者の場合、昨年のJBCスプリントを制したことを考えれば評価が低かったかもしれない。
過去10年の1番人気の結果は2019年からさかのぼって
③④③②①④①①①①
単純なデータでは1番人気の優勝は5回。一見すると人気に応えているような印象を与えるが、近4年連続で優勝を逃がしている。
結果として過去10年の単勝平均配当は326円。2010年サマーウインド(単勝120円)、2015年ダノンレジェンド(140円)なども含まれていることを考えれば、思った以上の配当。
1番人気はすべて4着以内を確保しているが、勝ち運に恵まれていないのも事実。全幅の信頼が置けるとは言い難い。
■5歳世代が7度優勝
1着 | 2着 | 3着 | |
4歳 | 1回 | 2回 | 4回 |
5歳 | 7回 | 1回 | 2回 |
6歳 | 2回 | 5回 | 0回 |
7歳 | 0回 | 2回 | 1回 |
8歳 | 0回 | 0回 | 1回 |
9歳 | 0回 | 0回 | 0回 |
10歳 | 0回 | 0回 | 2回 |
世代別優勝馬で特出しているのは5歳世代の優勝7回。ほかに2着1回3着2回。続いて6歳馬は優勝2回2着5回。4歳馬は2014年のサマリーズ1頭だった。
クラスターCだけではなく、ダート短距離路線は“1”(1着)の数字が、デビューからきれいに並んでいるケースはほとんどない。
芝からダート変更して素質を開花させるケース、3歳レースにダート短距離戦が極端に少ないことなどが考えられるが、一番は経験値がモノを言うからだと思う。
ダート短距離の先輩スペシャリストたちと戦い、敗戦を糧に逞しく成長していくのが現在のダート短距離路線。円熟期5歳馬の活躍には以上の背景がある。
ただ、先日7月26日、盛岡ダート1200mで行われた3歳重賞・ハヤテスプリントが3年前から地方競馬全国交流で実施。またスーパースプリントシリーズの導入など、時代が徐々に変わってきているのも事実。連動してクラスターCのデータも変わっていくに違いない。
有力馬紹介
■マテラスカイ
一昨年7月、中京ダート1400mで行われたプロキオンステークス(GⅢ)で2着インカ―テーションに0秒7差をつけて逃げ切り圧勝。従来の日本レコードを1秒2も更新し、1分20秒3の驚異的タイムをマークした。同年、JBCスプリントはグレイスフルリープのクビ差2着。惜しくもJpnⅠタイトル獲得はならなかった。
昨年はドバイ・ゴールデンシャヒーン(メイダン・ダート1200m)へ2度目の挑戦。2着に善戦し、帰国初戦にプロキオンSを選び、連覇を狙って登場。圧倒的1番人気に支持され、1000mを56秒0、1200mを1分8秒2で通過。日本レコードで逃げたが、ラスト200mで一杯となって5着に敗れた。
続いてセントウルS(芝1200m)7着後、ダートの最高峰ブリーダーズカップ・スプリント(サンタアニタ競馬場)へ挑戦。大外にも泣いて8頭立て8着に沈んだ。
しかしチャレンジ精神旺盛。今度はサウジアラビア・サウジアカップ(サウジア・スプリント)へ遠征。大外から果敢に逃げて4コーナーで後続に5馬身以上。残り200mでもリードを保ったが、最後の最後で力尽きてクビ差2着。惜敗したが、世界でもトップレベルのスピードを証明した。
前走・北海道スプリントカップでも逃げに逃げたが、ゴールでメイショウアイアンに交わされてハナ差同着2着。「時計のかかる馬場が合わなかった」と武豊騎手。
盛岡ダート1200mのレコードは3年前、ブルドッグボスがマークした1分8秒8。これは日本レコード・ビクトリテツニーの1分8秒7(中山・カペラS)に0秒1差に迫るもの。
高速馬場を味方に、マテラスカイが今度こそ重賞2勝目を手にする。
■ブルドッグボス
一度目のクラスターカップ参戦は中央ダート6勝から臨んだ2016年。連覇がかかったダノンレジェンドは60キロの酷量を背負ったため、ブルドッグボスが1番人気に支持されたが、2馬身差2着。
雪辱を果たしたのは翌年17年。南関東浦和・小久保きゅう舎へ移籍2戦目だった。1番人気はサイタスリーレット。ブルドッグボスは4番人気に甘んじだが、直線で先頭に立ったラブバレットをキッチリ差し切って快勝。盛岡ダート1200mレコードを更新する快走を披露した。
その後のダートグレードでは勝ち切れないレースが続いたが、昨年、浦和で行われたJBCスプリントを快勝。悲願を達成し、NAR年度代表馬に選出された。
今年はフェブラリーSから始動。13着に終わったが、一戦ごとに着順をあげて前回・浦和スプリントを快勝。上昇ムードで2度目の制覇を狙う。
クラスターCは4度目の挑戦。規定により抜けたトップハンデ59キロを背負うが、レコードホルダーの意地でも負けられないところ。
■ヒロシゲゴールド
ダートグレード初登場は昨年4月、東京スプリント(JpnⅢ)。果敢に逃げてキタサンミカヅキ、コパノキッキングの3着に粘った。
一戦置いてクラスターカップへ参戦。外強襲ヤマニンアンプリメには屈したが、コパノキッキングの追撃を封じて2着を確保した。
前々走・すばるステークスは距離も長く13着に沈んだが、京葉ステークスで1年1ヵ月ぶりの美酒を味わい、上昇ムードで臨むのが心強い。
過去実績、昨クラスターC2着からも逃げがベスト。強力逃げ馬マテラスカイがいるので折り合いがカギだが、2番手までなら我慢できるはず。当然だが、上位の一角を形成する。
■トップウイナー
3歳2月まで芝路線を歩み、2着4回。その後はダートをメインに5勝マーク。2勝クラスから3連勝を飾った。距離も1200mから1800mまでと融通性が非常に高い。
前走・プロキオンステークスが重賞初挑戦。2番手からサンライズノヴァの0秒6差5着なら健闘と見ていいだろう。
キャリアでは見劣るが、これから成長続ける4歳馬。地方ダートもこなせるようなら将来も約束された。
■アユツリオヤジ
管理するのは南部杯2勝、JBCクラシック盛岡を制したコパノリッキー、クラスターC連覇ダノンレジェンドでもおなじみの村山明調教師。
デビューから一貫してダート短距離を使って1200m4勝。前々走のテレビ―ユー福島賞(3勝クラス)が初芝だったが、アッサリ逃げ切り、6歳にしてオープン入り。
勢いを駆ってGⅢ・アイビスサマーダッシュに挑戦したが、スペシャリストがそろって12着。
ダートグレード、地方ダートも未経験だが、サウスヴィグラス産駒なら盛岡ダートも合うはず。
■メイショウアイアン
中央ダート4勝から一昨年、北海道へトレード。6勝2着6回の成績を残し、昨年の北海道スプリントカップ2着。
今年は休み明けを一戦叩いて同レースへ臨み、直線大外強襲。マテラスカイ、スズカコーズウェイとの叩き合いの末、ハナ差先着。10歳にして重賞初制覇。2000年、オースミダイナー以来2度目の優勝を地元にもたらした。
クラスターカップは今回で3度目の参戦。過去2回は6、7着だったが、グレードウイナーの勲章を胸に、今年こそ上位進出をもくろむ。
■ショーム
南部杯3連覇、かしわ記念3連覇、フェブラリーステークス、ジャパンカップ・ダート、JBCスプリントとダートグレード9勝したエスポワールシチーの初年度産駒。
ダート1400m~1800mで5勝してオープン在籍。前走・北海道スプリントカップが重賞初挑戦で8着に終わったが、地方ダート2度目の上積みは確実にある。